『ストレンジャー・シングス』S4が描いたショッキングな死と結末 シーズン過去最高傑作に
回り道もありつつ、過去最高シーズンに
シーズン4は、間違いなくこれまでのシーズンにおいても最もインテンスで、エモーショナルなシーズンだ。次の展開が気になってビンジウォッチが止まらないのは、やはり圧倒的に面白いから。『ストレンジャー・シングス』名物のあらゆるポップカルチャーへのリファレンスも健在であり、それが今回はシーズンの毛色に合わせてホラー作品へのオマージュの多さに現れている点も新鮮で楽しめた。加えて、やはりそれぞれのキャラクターの配置や、言動、誰と誰が仲良くしていて、誰と誰が組んだら深い話をしてくれるなど、そういった登場人物の動かし方は本当にトップクラスで上手いと感じさせられる。エディがダスティン(ゲイテン・マタラッツォ)に「絶対に変わるなよ」と言ったり、スティーブ(ジョー・キーリー)がナンシー(ナタリア・ダイアー)にキャンピングカーと子供の話をしたり、ロビンが片思い中の女の子と話せて楽しそうな様子をスティーブが「やれやれ」といった具合に見守っていたり、マックスが自分の一番楽しかった思い出をルーカス(ケイレブ・マクラフリン)に内緒にしていたり、エディの父親(ジョエル・ストファー)に彼の息子の死を唯一その場で目撃し、エディという人間を理解したダスティンが話しかけに行ったり……良いシーンは挙げようとするとキリがない。このドラマの本質的な魅力は、その世界観よりも彼らキャラクターの存在と言っても過言ではないのだ。
ただ、カリフォルニア組とカムチャッカ組のシークエンスは、シーズン全体の中で特に何も起こらないのに若干見せすぎた印象も否めなかった。それぞれがバラバラの土地で戦う展開は面白いし、シーズン2を彷彿とさせるものがある。もちろん、ホッパー(デヴィッド・ハーバー)があそこまで酷い目に遭ってしまう工程を描いたからこそ、ジョイス(ウィノナ・ライダー)との再会が感動的なものになっていたり、こじれてしまったマイクとウィル(ノア・シュナップ)の関係をほぐすためにもあのロードトリップのシーンがあったりと、それらの必要性も理解できる。ただ、特にカムチャッカ組に関しては、一度脱獄して、セーフハウスに避難して、飛行機が全然修理されなくて、やっぱり事態を収集させるにはもう一度刑務所に戻らなければいけないという、行ったり来たりが面倒くさいRPGゲームみたいな展開が少しもどかしくもあった。
とはいえ、Vol.1の時点であまり魅力的に描かれなかったジョナサン(チャーリー・ヒートン)が、たった一人ウィルの立ち位置を理解した上で彼を抱きしめ、愛されている自覚を持たせる役回りになった点など、持ち直した部分もある(スティーブにとっては残念な結果になってしまったけど)。おそらくマイクのことが好きなウィルは今回精神的にかなり孤立していたし、マイクとイレブンを応援したい気持ちと、そうすることで自分が疎外されるような辛い気持ちを味わって、本当にかわいそうな立ち位置にいた。それなのに、ホーキンスに帰ってきたら今度はまた「裏側の世界」を感じる役回りに舞い戻ってしまうなど、踏んだり蹴ったりなので最終シーズンでウィルが本当に報われることを願いたい。
最終シーズンといえば、先日スピンオフの製作も決定した『ストレンジャー・シングス』。クリエイターのダファー・ブラザーズによれば、完全にオリジナルシリーズとは違うものになるらしい。「場所だけを変えて同じようなことをやるつもりもない」と彼らが発言していることもあり、イレブンたちの物語は2024年配信予定のシーズン5を以て完結することは間違いなさそうだ。もうホーキンスだけの話では収まらなくなってしまった。子供たちだけでは立ち向かえなくなってしまった。それでも、彼らは再び一つの場所に集まった。一緒にいるからこそ強くなれる、そんな彼らを信じて世界の命運を委ねたい。
■配信情報
Netflixシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』
シーズン1~シーズン4 :独占配信中
クリエイター:ザ・ダファー・ブラザーズ
製作総指揮:ロス・ダファー、マット・ダファー、ショーン・レヴィ
出演:ウィノナ・ライダー、デヴィッド・ハーバー、フィン・ヴォルフハルト、ノア・シュナップ、ミリー・ボビー・ブラウン、ケイレブ・マクラフリン、ゲイテン・マタラッツォ、カーラ・ブオノ、ナタリア・ダイアー、チャーリー・ヒートン、ジョー・キーリー、セイディー・シンク、プリア・ファーガソン、マヤ・ホーク、ジェイミー・キャンベル・バウアー、エドゥアルド・フランコ、ジョセフ・クイン、ロバート・イングランド、 シャーマン・オーガスタス、メイソン・ダイ、ニコラ・ジュリコ、トム・ヴラシア