『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の挫折と再生とトキメキ パク・ウンビンが秀抜な演技を披露

 Netflix配信中の『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の人気が高い。連日のTOP10入りで、7月11日時点では『梨泰院クラス』に続く2位を記録している。

 韓国初の“自閉スペクトラム症”の弁護士として、法律事務所ハンバダで働き始めたウ・ヨンウ(パク・ウンビン)。新人弁護士として、己の持つ特性を周囲に理解してもらいながら日々を生きている。ヨンウのお気に入りは、クジラとキンパ。イントロでは大好きなクジラが部屋に飾られており、出勤時には騒音防止の防音保護具“イヤーマフ”をつけて出勤する。空には大きなクジラが泳いでおり、雲も信号機も、クジラで、ヨンウの心象風景の演出が素晴らしい。ヨンウは、回転扉やドアを開けるときなどに、自分なりのリズムがある。手や足の運びに、彷徨う視線、小刻みに揺らす頭、といった動作を微細な演技でパク・ウンビンが表現してみせる姿に惹きつけられる。第3話では“自閉スペクトラム症”という特徴を持つ被告人が登場し、ヨンウに世間の差別という壁が立ち塞がる。

 ハンバダの古くからの顧客で製薬会社会長の長男と次男に起きた悲しい事件。傷害致死罪で起訴された次男キム・ジョンフン(ムン・サンフン)は、“自閉スペクトラム症”のため、担当弁護士のチョン・ミョンソク(カン・ギヨン)はヨンウにサポートを求める。ムン・サンフンは、『D.P. -脱走兵追跡官-』で視聴者に衝撃を与えたキム・ルリ役を演じた俳優だ。

 ミョンソクの「私よりは被告人のことが分かるだろうからね、自閉症なら会長も心強いはず」という言葉に、「正式な診断名は“自閉スペクトラム症”です、その特徴は人によって千差万別です」とヨンウはいう。そして、ヨンウのいったとおり、被告人とヨンウの特徴は違っていた。ジョンフンを守ろうと弁護人として奮闘するヨンウだが、法廷で検事から「自閉症患者」として差別的な発言で攻撃をされる。ミョンソクは異議を申し立てるも、裁判長は「攻撃的だが、差別的ともいえない」と棄却をする。検事から執拗に攻撃を受け、平常心を保てなくなっても諦めず被告人のために真相解明に奔走するたヨンウ。しかし、彼女は依頼人から弁護を外れるように告げられてしまう。イ・ジュノ(カン・テオ)と歩く姿を見たジュノの後輩から“ボランティア活動”といわれたり、タクシー運転手から金銭の支払い能力を疑われたことを思い出したヨンウは、「自分と被告人の違いは自分にはわかるが、検事にも判事にも分からない、私は被告人の力になれる弁護士ではありません」という。その後、自分が発した言葉の意味にハッとし、その意味を噛みしめ、諦観の表情に至る流れのパク・ウンビンに目を見張る。そして、自分が弁護をすると負けてしまうと思ったヨンウは弁護士を辞める決意をする。薄暗いセピア色の中をクジラが沈降していくさまが辛い。

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