『ソー:ラブ&サンダー』はアクションを楽しめる快作! 評価が分かれるポイントも?

『ソー:ラブ&サンダー』はテンポの良い快作

 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします!

 『ソー:ラブ&サンダー』を観てきました。とても楽しい映画です。極力ネタバレなしのレビューです。

 まず本作を楽しむ前に、頭に入れておいてほしいのは、マーベルのコミックの世界にはもともと、たくさんの神様、神話のキャラが登場しているということです。

 そもそもソー自体が北欧神話の雷神ですよね。さらに最近のマーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)のドラマ『ムーンナイト』にはエジプトの神々が出てきました。そしてソーのコミックではギリシアの神々ゼウスとかヘラクレスとかとアスガルドが戦う話もあるぐらいです。この世界観がソーの物語の楽しさでもありユニークなところです。そして『ソー:ラブ&サンダー』はこの“ソーならではの要素”をストレートに取り入れています。

 予告編でも空飛ぶ二頭のヤギが出てきますが、コミックでもあのヤギにひっぱられソーたちはギリシアの神ゼウスの国に行くのです。だからアイアンマンの物語ならSFアクション、キャプテン・アメリカのストーリーならポリティカル・サスペンスになりますが、ソーの冒険はエピック・ファンタジー路線。これだけジャンルもテイストが違うヒーローたちが同じ世界観にいるというのがマーベル、およびMCUの懐の深さなのです。

 そして本作は衝撃的な物語展開とサプライズがいっぱいだった『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』と比べるとシンプルなストーリーです。では物足りないかというとそうではない。ストーリーがわかりやすい分、ソーの魅力とアクションをテンポよく楽しめる快作となっています。考えてみれば前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』は半分は“ハルクの映画”でしたよね? 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』もワンダことスカーレット・ウィッチが事実上の主役とも言えます。けれど今回の『ソー:ラブ&サンダー』は、他のMCUヒーローとの絡みはそんなになく、あくまでもソーとその周辺キャラたちにスポットが当たっています。そしてこの物語に組み込まれる要素の多くはソーのコミックから由来するものです。

 そして劇中、クリス・ヘムズワース演じるソーが何度も違うコスチューム姿を見せてくれる(予告でもあるように素っ裸なシーンもある)。しかも今回のソーは、みんなが好きな“金髪ロン毛でマッチョ”なソーなのです(ここしばらくのソーは、このルックスではなかったですよね)。従ってソーらしい世界観の中で、ソーにちなんだ有名エピソードを使って、みんなが見たかった様々なソーの姿を楽しませてくれる、“ソー純度の高い”エンターテインメントなのです。

 加えて本作の売りはナタリー・ポートマン演じるジェーンが“マイティ・ソー”となります。素直に彼女は美しく、かっこいい(しかも彼女がなぜ変身できたのか? 実は……。ここはちょっと感動しました)。

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