街山みほ×佐藤周×いまおかしんじ、新鋭×ベテラン初コンビで描いた『ヘタな二人の恋の話』
新鋭監督とベテラン監督が、監督・脚本としてタッグを組んだ映画『ヘタな二人の恋の話』が7月1日から公開される。
『橘アヤコは見られたい』がロッテルダム国際映画祭で招待上映された新鋭・佐藤周が監督を務め、『れいこいるか』『葵ちゃんはやらせてくれない』など話題作を次々と繰り出すいまおかしんじが脚本を手掛けた。人とのコミュニケーションがうまくできない若い男女の、愛しくも、時に切ない7年間の恋を描いた本作。主演を務めるのは、大学在学中に篠山紀信によるグラビアデビューを飾り話題を呼んだ、街山みほ。AbemaTV『恋愛ドラマな恋がしたい』で注目を集める鈴木志遠らが共演に名を連ねる。今回、主演の街山と監督の佐藤、脚本のいまおかにインタビュー。それぞれが感じた本作の魅力と撮影の裏側について語ってもらった。
新鋭監督×ベテラン監督の初コンビ
――佐藤周監督と、いまおかしんじ監督、それぞれ独自の世界を持つ監督2人が組まれた今回の作品ですが、お二人のコンビネーションはいかがでしたか。佐藤周(以下、佐藤):共通の知り合いとか、知人の監督さんはいるんですが、今回いまおかさんと組むのは、初めてなんですよ。
いまおかしんじ(以下、いまおか):俺が脚本作りに呼ばれたときは、既に監督が佐藤くんに決まっていました。それまでは喋ったことなかったもんね。
佐藤:いまおかさんは恋愛映画の名手ですから、脚本がいまおかさんというのが、まず嬉しかったです。そもそも今まで、他人の脚本で映画を撮ったことないんですよ。
いまおか:最初に佐藤くんが書いてきたプロットがあったのですが、ちょっと精神を病んで
るというか、そういう女のひとが海かどこかに行って、いなくなっちゃうみたいな話で、ホ
ラーテイストも入ったプロットでした。
――『怪談新耳袋Gメン』などホラー作品を多く手がけてきた佐藤監督らしいですね。
いまおか:佐藤監督らしい感じだったんですけど、もう少し恋愛寄りの話にどうやって持っ
ていくかという話をしました。メンヘラ気味の女の子を街山さんでやるというのも、その時
点で決まっていたので、後はその周りをどう作っていくかと。
――2人で作業されていると、違いを感じるところもありましたか?
佐藤:僕は、整合性に対して、口を出していました。「ここ、おかしくないですか?」とか、細かいところが気になってしまって、理屈っぽいことを言っていた気がします。でも、いまおかさんの作品って、理屈で考えると変なんだけど、観ていると特に違和感がない“いまおかマジック”があるなと思いました。「なら今回はそこに全部委ねよう」と思って、全部受け入れさせてもらいました。
映画初出演・街山みほが全力で挑んだ撮影
――出来上がった脚本を読まれて、街山さんはいかがでしたか?
街山みほ(以下、街山):メンヘラチックな女の子というのも面白いと思いました。いまお
かさんとちゃんとお話するのは、今日が初めてなんです。ロケ中に一度、「脚本を書いてく
ださった、いまおかさんですよ」と紹介されて、挨拶だけだったんですけど、脚本の雰囲気
から、陽気な感じの方ではないんだろうなとっていうイメージだったんですが、今日ご一緒
したら、全然違いました。
――撮影日数は、どれくらいですか?
佐藤:4日です。撮ったのが、ちょうど1年前の6月ですね。
街山:あっという間でした。初めての演技だったので、どう映像になっているのか、すごく
不安でした。現場では、一生懸命カメラに向かって体を張ってやっていくしかないって気持
ちでやっていました。
佐藤:撮影前に本読みをしたんですが、街山さんに、「撮影が4日しかないから、全力で全
てを出すしかないよ」と言ったのを覚えてます。丁寧に一個ずつやっていく暇が残念ながら
ないから、そのテイクごとにあなたの全てを出してもらわないと、無理だっていう話をした
んですよ。
街山:その言葉が刺さって、私の中でエンジンがかかりました。
いまおか:監督にむかつくことはなかったですか? 「コノヤロー、何言ってんだよ。今の
OKだろ!」みたいな。大体一回ぐらいはあるんだけどな。「監督の話、なげーんだよ」と
か。
佐藤:長く話してる時間すらなかった(笑)。でも、僕の現場の中では比較的、俳優部と結
構しゃべれたなという気がして良かったなと思いますね。街山さんと鈴木(志遠)くんが、
結構話を聞いてくれたのもあるし、向こうから質問してくれたのもあるし。時間がないなが
らも、結構密にいろいろコミュニケーションを取れたなと。
――祐太役の鈴木志遠さんは、いかがでしたか?
街山:祐太役にピッタリだなって思う雰囲気の柔らかい方でした。
佐藤:オーディションの前に、プロフィールを見た時は、俺の苦手なタイプって思ったんで
す(笑)。イケメンで、高身長で、しかもサッカーが得意なんですよ。絶対スクールカーストの上の方ですよ。それが、オーディションで初めて会った時、あれっと思って。街山さん
が、さっき柔らかい方って言ってましたけど、僕も似たようなものを感じて、かわいいなと
思ったんですよね。この子すごい愛嬌があるなと。嫌な感じがしないんですよ。威圧感がな
いというか。時々、リアルにオドオドする時とかもあって、かわいいんです。現場でもそん
な感じで、すごくやりやすかったですね。あと、やたら猫背になってもらったのも、すごい
良かったな。僕が言ったのか、彼が勝手にやってくれたのかは覚えてないけど、それも良か
ったですね。