『エルヴィス』バズ・ラーマン監督、“4時間バーション”の存在明かす 主演俳優の起用秘話も

『エルヴィス』“4時間バーション”も

 エルヴィス・プレスリーの半生を描いた伝記映画『エルヴィス』が、7月1日より公開される。『エルヴィス』の上映時間は約2時間半(159分)と長尺であるが、ラーマン監督は、Radio Timeのインタビューで、劇場公開版よりもさらに長い“4時間バージョン”(240分)が存在することを明かした。

 ビートルズやクイーンにも影響を与え、数々の伝説を打ち立てたエルヴィスの真実の物語を映画化した本作では、『ムーラン・ルージュ』(2001年)や『華麗なるギャツビー』(2013年)のバズ・ラーマンが監督を務め、『ワンス・アポン・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)のオースティン・バトラーが主人公エルヴィスを演じる。

 ラーマン監督は「実は“4時間バージョン”があるのです。そう、つまり(劇場公開版用に)2時間半に収めなければなりませんでした」と明かし、「もっと他のことにも焦点を当ててみたかったのです。バンドの関係性など、撮影したものは多くありますが、それらを削らなければなりませんでした。また、(トム・ハンクス演じるエルヴィスのマネージャー)トム・パーカー大佐が、どのような行動を起こしていくのかについても、非常に興味深い部分でした」「(さらに)エルヴィスの最初の恋人、ディキシー・ロックとの関係性もそうです」と、劇場公開版には収めることができなかった、より多くのストーリーが、“4時間バージョン”では掘り下げられていることを語った。

 ラーマン監督はまた、エルヴィスの「バルビツール酸中毒とそのすべて」についても踏み込み、「彼は、リチャード・ニクソンに会いにいくとか、“奇妙な行動”(wackadoo)を取り始めるのです。しかし、そのような物語全てを盛り込むことはできないので、エルヴィスというキャラクターの精神を追求することに徹することにしました」と、オリジナルバージョンでは、ニクソン元大統領との会見も描かれていたことを明かした。

 ラーマン監督は以前Entertainment Weeklyのインタビューで、完成した映画を「3幕構成からなるポップカルチャーオペラ」であると表現しており、「初代パンクロッカーであり、反逆者でもあり、映画人でもあるエルヴィス」の人生は、「壮大で美しく、かつパワフルであり、3つの幕に見事に収まっています」と述べている。

 また、バトラーのキャスティングについてラーマン監督は、「涙を流しながら『Unchained Melody』を演奏する若者の姿に『うわ、なんだこれは』っていう感じでした」と、バトラーが送ったビデオテープに感動したことを述べ、さらに「(そんなところへ)デンゼル・ワシントンから電話がかかってきたのです。私はデンゼルと面識がありませんでしたが、彼は、『バトラーとは舞台で一緒に仕事をしたことがあるだけですが、こんな仕事ぶりは見たことがないですよ』と言うので、私は『よし、会ってみよう』と思ったのです」と、バトラー起用の背景には、ワシントンによる推薦のきっかけがあったことを明かした.

 そんな、伝説のアーティスト役で主演の座を掴むこととなったバトラーは、Colliderのインタビューで、『エルヴィス』についての心境や役作りについて語った。

 クエンティン・タランティーノ監督作品への出演、『エルヴィス』での主演、さらには『Masters of the Air(原題)』への出演など、近年の輝かしい活躍について、「毎日、夢なんじゃないかと思っているし、とても幸運なことだと思います」と語るバトラーは、『エルヴィス』で主役を演じることについて、「私にとってこの作品は映画を超えたものです」「この映画は、エルヴィスの人生を称えるものであり、彼と彼の家族のために正義を貫くことは、とても大きなプレッシャーでした。この作品を通して、そのような責任感の大きさや、自信喪失したときの気持ちなど、多くのことを学びました」と述べている。

 またエルヴィスの役作りに関して「撮影終了後、エルヴィスという役から通常の自分に戻るまで、どれくらいの時間がかかりましたか」と問われたバトラーは、「まだ(通常の自分を)探している状態ですが、撮影が終わってから、通常の感覚に戻るまで、2カ月はかかりましたね。撮影が終わってしまうと、自分がどうしたらよいのか分からなくなってしまう、本当に不思議な感じです」と語り、「自分の人生を犠牲にしてまで何かに打ち込んだことは初めてでした。映画の撮影や準備をしていた2年間は、家族や友達にも会わず、誰とも会いませんでした」と、この2年間の撮影に臨んだ姿勢について明かした。

 さらに、「(同じく俳優である)姉のアシュリー・バトラーに映画を見られるのは緊張したのではないでしょうか」と問われたバトラーは、「正直なところ(姉よりも)プリシラ・プレスリーと、リサ・マリー・プレスリーに見せることが一番こわかったです。彼女たちは私にとって全ての核となる存在なので緊張しました」と述べ、「姉に関しては、『2年間も姿を消してごめんね』と伝えました。私がどこで何をしていたかについて、ようやく分かち合うことができたのは、私にとって特別なことなのです」と語った。

参考

https://variety.com/2022/film/news/baz-luhrmann-elvis-4-hour-cut-1235298827/
https://www.radiotimes.com/movies/baz-luhrmann-elvis-4-hours-exclusive-newsupdate/
https://ew.com/movies/baz-luhrmann-elvis-interview-summer-preview/
https://collider.com/austin-butler-elvis-presley-interview/

■公開情報
『エルヴィス』
7月1日(金)全国公開
監督:バズ・ラーマン
出演:オースティン・バトラー、トム・ハンクス、オリヴィア・デヨング
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

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