Netflixランキング1位にも上り詰めた『医師ヨハン』 難しい医療テーマとロマンスが融合?

『医師ヨハン』医療の難題とロマンスが融合?

 さらに気になるのは、ヨハンとシヨンの関係の行方だ。ヨハンの並外れた苦痛を見抜く能力と頭脳を信じ、彼に気づいたことを告げていく、師弟関係の二人。しかし、ヨハンの病気という秘密を知ったシヨンは、自分が彼のことを「人」として理解したいという気持ちに気づいていく。

 時々見せる、顔を近づけたり頭を撫でたりするヨハンの行動には、大人の余裕が見え、クールな人柄から考えても彼の意外な魅力を感じることができる。シヨンの「好きです」というド直球の告白にすぐには返事はしなかったヨハンだったが、だんだんと仕事でも、自身の病気を理解してくれる唯一の人という面でも、彼女の存在が必要になっていく。恋愛が中心のドラマではないので、スキンシップも少なく、物足りない人もいるかもしれない。しかし病気であるヨハンが、自分がいつどうなるか分からないためシヨンに迷惑をかけたくないという想いと、心の奥底にある彼女を愛したい気持ちの間で葛藤する姿に、愛の重みとパワーを学ぶことが出来るはずだ。

 ヨハンが率いるチームの存在も、ドラマを時に明るい方向へと導いてくれる。仕事をしている時は、頼り甲斐のあるチームだが、時々笑いも誘ってくれるのだ。彼らの存在が、重いテーマを中心としている『医師ヨハン』のバランスをとる。特に、刑務所にいる時からヨハンのことを知っているユジュン(ファンヒ)と、シヨンの妹でシヨンとあまり仲良くなかったミレ(チョン・ミナ)が恋仲になっていくのも、サイドストーリーとして注目だ。

 シヨンとミレは、父親が事故に遭ったのを機に不仲になってしまっていた。最初はシヨンの行動全てを否定するほど、ミレは姉を恨んでいたが、やがて彼女の仕事に対する姿勢や熱意に心を動かされていく。シヨンとミレが務めるハンセ病院は家族で経営している病院であり、理事長が父親、理事長代行が叔父、母親と叔母も医者として務めている。母親のミン・テギョンを演じたキム・ヘウンは、『梨泰院クラス』や『二十五、二十一』、叔父のカン・イムンを演じたオム・ヒョソプは『星から来たあなた』『スタートアップ:夢の扉』などの有名作品に出演している俳優であるため、観ていて安心感のある作品にもなっている。

 単なる医療ドラマとしてだけでなく、恋愛や人間としての生き方、家族の在り方など、医師や患者を通して様々なドラマを見ることができる『医師ヨハン』。難しいテーマを扱いながら、私たちに問題提起をしてくれる作品でもある。素晴らしいチームワークを発揮して次々に病名を明らかにしていく、彼ら医師たちの今後の活躍も想像しながら観たくなるドラマだ。

■配信情報
『医師ヨハン』
Netflixにて配信中
脚本:キム・ジウン
出演:チソン、イ・セヨン、イ・キュヒョンほか
(写真はSBS公式サイトより)

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