千葉雄大と永山絢斗が体現する奇妙な“共依存関係” 『ダブル』が教えてくれる夢を持つ意味

 私たちはどうしても、“光”ばかりに目を奪われてしまう。キラキラと輝くアイドルや、スクリーンを彩る俳優たち。冷田(桜庭ななみ)が言うように、魅了されたいのだろう。他人が放つ、煌めきのようなものに。

WOWOWオリジナルドラマ ダブル

 『WOWOWオリジナルドラマ ダブル』は、多家良(千葉雄大)と友仁(永山絢斗)の奇妙な“共依存関係”を描いてきた。友仁が考えた演技プランを、多家良が表現する。そうして2人は、ともに最高の舞台を作り上げてきた。しかし、多家良がスターダムに駆け上がるにつれ、友仁の存在は“異物”として扱われるようになってしまう。

 ドラマ序盤では、多くの人が友仁に感情移入をしたはずだ。「役者というものは、ひとりでは生きていけない。一緒に生きていくこともできない」と悟りながら、多家良との共依存関係を続けてきた友仁。きっと、想像を絶する孤独を感じたこともあっただろう。それでも、友仁は多家良を支え続けた。それも、「俺だって、世界一の役者になりたい」という夢を持ち続けたまま。

 多家良の活躍を支える側に回ろうと決めれば、友仁はラクになれたかもしれない。スパッと役者の道を諦めて、マネージャー業務に専念する。しかし、彼は夢を手放すことはできないだろう。多家良の才能に惚れ込んでいるのと同じくらい、役者という職業に心酔しているからだ。

WOWOWオリジナルドラマ ダブル

 自分も同じ夢を持っているはずなのに、多家良の夢が叶うのを全力で喜べる。きっと、友仁は気付いているはずだ。かつてのように、夢に対する希望を抱いていない自分に。しかし、長年追い続けた夢は“呪い”となり、簡単に私たちを自由にはしてくれない。現実を悟ってしまった自分から目を逸らして、夢を語るしかないのだ。

WOWOWオリジナルドラマ ダブル

 その一方で、多家良は“光”として輝いている。事務所にスカウトされ、有名作品を多く手がける映画監督・黒津(津田寛治)の作品に出演することも決まった。マネージャーの冷田は、多家良の才能のために尽力を注いでくれる。彼は、周囲の期待を背負いながら、ただ光の道を歩んでいくのだと思っていた。

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