『鎌倉殿の13人』小池栄子の笑顔がもたらす久々の穏やかさ 佐藤二朗の流石の“腹黒さ”も
微かな緊張感が漂う第22回だったが、昔に戻ったような姉弟、夫婦の姿に心が穏やかになる瞬間も。
妻・八重(新垣結衣)を失った悲しみを紛らわすかのように、孤児の世話に奔走する義時を心配し、姉・政子(小池栄子)は侍女の扮装をして義時の館に出向く。「子供たちと接していると自分が幼かった頃のことをやたら思い出すんです」と話す義時は、幼い頃の思い出を政子と語らう。幼い頃のようにはしゃぎ、笑顔で語らう姉弟の姿はとても無邪気で、こちらもつられて笑顔になってしまうほど穏やかだった。このときの2人は御台所でも御家人でもなく、伊豆の豪族のいち娘と息子だった。政子に励まされ、義時は久々に笑みをこぼす。この後、曽我兄弟の一件により、義時の表情は険しいものへと引き戻されてしまうが、ほっとしたような義時の笑顔には束の間の安らぎがあった。
頼朝と政子のやりとりも感慨深い。征夷大将軍となった頼朝を政子が祝福するが、頼朝はわざと醒めた口調で「御家人どもを従わせる肩書にすぎん」と言った。しかし政子の口元に段々と笑みが浮かぶと、頼朝も表情を崩し「征夷大将軍じゃ!」と喜びを口に出した。2人とも口調こそ大人なれど、体を揺らしたり飛び跳ねたりと子どものようにはしゃぐ。ここのところ、頼朝は非情な顔を、政子は不安げな顔や緊迫した表情を見せることが多かった。だからこそ、久方ぶりに頼朝と政子が笑顔を見せていたことで、少し心が安らいだ視聴者もいるのではないだろうか。
しかし、姉弟と夫婦のやりとりで感じた安らぎは長く続かなさそうだ。曽我兄弟の目論みにより、頼朝と北条家に不穏な影が忍び寄っている。
■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK