『正直不動産』から『鎌倉殿の13人』へ 市原隼人だからこそ演じられる信念を貫く男

市原隼人だからこそ演じられる信念を貫く男

 NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第21回「仏の眼差し」から、タイトルにもなっている「13人」の宿老の一人、八田知家役の市原隼人が登場した。第21回の冒頭、源義経(菅田将暉)の最期を思い沈んだ表情の北条義時(小栗旬)の前に突然現れた八田。源頼朝(大泉洋)の命令で鎌倉の道を修復しているという。やる気があるのかないのか、とにかくワイルドなその風貌と物言いは、何かと群れる坂東武者においては異彩を放つ。

 そして、突然現れたかと思えば人の話も聞かず、一方的に孤児の鶴丸(佐藤遙灯)を義時に預けようとする。かなり強引な一匹狼タイプだということが一瞬で分かるインパクトのある登場シーンだった。

 『おんな城主 直虎』(NHK総合)で龍潭寺の僧侶・傑山役を好演、美しい筋肉を披露して話題になったのが2017年のこと。5年ぶり2度目の大河ドラマ出演となるが、年齢を重ねてさらに大人の色気をまとった市原に熱い視線が注がれている。

 若い頃は、体育会系の熱い男といった役柄もハマり、やんちゃなイメージが強く残ってもいたが、あれだけの肉体美を維持できるストイックさは芝居に対しても真摯である証。クールな表情の中にもどこか熱い信念のようなものを感じさせる。

『正直不動産』写真提供=NHK

 現在放送中のNHKドラマ10『正直不動産』でも、市原はその魅力を遺憾なく発揮している。演じている桐山貴久は、主人公・永瀬財地(山下智久)の仕事上のライバル。第6話で桐山が登坂不動産を退職して不動産ブローカーになってからは、良き相談相手にもなっている。

 契約を取るためなら嘘もいとわないやり手の営業マンだった永瀬が嘘のつけない体になり、同僚や上司にも「それだけは言っちゃダメ」という本音をペラペラしゃべるようになった最初の頃から、その異変を素早く察知していた桐山。気づいたからといって、それをもとに永瀬の足を引っ張ったり、過剰に干渉するわけでもなく、相手の変化を受けて思うところはあっても多くは語らない。

 無口なタイプではあるが、ここぞというときに永瀬が桐山の意見を聞きたくなるのは、秘めた熱いものがその表情からも感じられるから。そんな桐山のキャラクターは原作漫画でも人気があり、SNSでも話題になっている。

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