『トップガン マーヴェリック』、日本でもマッハ10級のジェットスタート

『トップガン』続編、ジェットスタート

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 先週末の動員ランキングは、トム・クルーズ主演、ジョセフ・コシンスキー監督の『トップガン マーヴェリック』が土日2日間で動員52万4843人、興収8億2471万1300円をあげて初登場1位となった。オープニング3日間の動員は74万7192人、興収は11億5756万4620円。この成績は外国映画で今年最高のスタートだった『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』の109.6%、トム・クルーズ主演作品として前作にあたる2018年公開の『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の133.3%という数字。ウィークデイに入ってからも勢いは落ちることなく、早くも動員100万人を突破、映画サービスデーの6月1日も2位の『シン・ウルトラマン』に4倍近くの圧倒的な差をつけるという独走状態になっている。

 当初、2019年に公開される予定だった『トップガン マーヴェリック』は、まず製作の遅れから約1年公開時期がずれ込んだ上に、パンデミックの影響によって再三の公開延期を経てそこからさらに2年公開が遅れたわけだが、結果的に今回の公開タイミングも大いに功を奏したと言えるだろう。というのも、日本だけでなく、世界的にも年配層の観客が映画館になかなか戻らないという状態が長く続いていたが、36年前に公開された前作『トップガン』をリアルタイムで経験した世代が、『トップガン マーヴェリック』を観るために映画館に久々に足を運ぶという現象を生んでいるのだ。結果、世界32の国や地域で過去のトム・クルーズ主演作のオープニング記録を更新。作品に対する高評価も広がっていて、今後はより若年層の観客の動員も大いに期待できるという理想的な興行を展開している。

 さて、そんな世界中で向かうところ敵なしに思える『トップガン マーヴェリック』だが、公開タイミングでいくつかのことが明らかになった。一つは、2019年に発表されていた中国資本のテンセント・ホールディングスの共同出資が、いつの間にか撤退していたこと。もう一つは、現時点で中国での公開は承認されておらず、今後も承認される見込みがなさそうだということ。

 ちょっと考えてみれば、米国海軍の戦闘機パイロットたちを描いた『トップガン マーヴェリック』が現在の中国で公開されないのも無理はないが、たった3年前まではそれでも普通に公開されることが見込まれていて、出資の契約が結ばれていたわけだ。ハリウッド映画の中国公開を巡っては、『ブラック・ウィドウ』以降のマーベル・シネマティック・ユニバース作品が1作品も公開されていないなど、昨年以来大きな転換点を迎えている。結果、本作は1億7000万ドル(約216億円)と言われる製作費をアメリカ国内の資本で賄い、(もちろんロシアでも公開されないので)主に西側諸国のマーケットでの世界興行となった。

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