『トップガン マーヴェリック』北米興収No.1に トム・クルーズ史上最高のスタート

『トップガン マーヴェリック』北米で好成績

 『トップガン マーヴェリック』がトム・クルーズの歴史を変えた。5月27日~29日の北米興行収入ランキングは本作がNo.1の座を射止め、3日間で1億2400万ドルを記録。『宇宙戦争』(2005年)を超え、クルーズ史上最高のオープニング興収成績となった。意外にも、クルーズの出演作が初動1億ドルを突破したのは本作が初めてだという。

 青春スカイアクション映画の名作『トップガン』(1986年)は、俳優トム・クルーズを一躍スターダムへと押し上げた記念碑的一作。続編となる本作は、当初2019年7月に北米公開予定だったが、2020年6月に延期されたことでコロナ禍の影響をもろに受け、延期に延期を重ねていた。監督のジョセフ・コシンスキーは作品を早くに完成させていたため、公開までの待機期間はコロナ禍でも屈指と言える。

トップガン マーヴェリック

 北米配給のパラマウント・ピクチャーズとクルーズが劇場公開にこだわったことは、結果的には大正解だった。本作は5月27日に日米同時公開となったが、北米で5月30日は祝日にあたる戦没将兵追悼記念日。30日までの4日間の興収成績は1億5100万ドルにのぼる見込みで、戦没将兵追悼記念日の週末記録としては『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』(2007年)に次ぐ成績となる。

 驚かされるのは、前作『トップガン』から36年が経過したにもかかわらず、当時はまだ生まれていなかった35歳以下の観客が全体の45%を占めたことだ(40歳以上は55%)。成功の要因には「公開のタイミングが良かった」「SNSでの広報が成功した」「CGに頼らない空撮が若年層の心をつかんだ」などの理由が挙げられているが、口コミ効果もそのひとつ。Rotten Tomatoesでは批評家スコア96%、観客スコア99%を記録し、観客の出口調査に基づくCinema Scoreでは最高評価の「A+」を獲得するなど、まれに見る高評価となった。

 また、IMAXや3D上映に人気が集まっているのも本作の特徴で、北米では興行収入の22%がこうした特別上映によるものとなった。週末にはIMAXのみで北米2100万ドル、全世界3250万ドルを稼ぎ出したとも報じられており、できるかぎり大きなスクリーンで映画を楽しみたいという観客のニーズがうかがえる。

 『トップガン マーヴェリック』は、北米のほか日本を含む62の海外市場でも劇場公開を迎えており、海外興収は1億2400万ドルを記録。32市場でトム・クルーズ史上最高の初動成績を達成した。特に優れた成績を収めたのはイギリス(1940万ドル)、フランス(1170万ドル)、オーストラリア(1070万ドル)、日本(970万ドル)、ドイツ(650万ドル)で、イギリスとフランスではパラマウント・ピクチャーズの実写映画としても歴代最高の初動記録を樹立した。

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