Netflixオリジナル作品の記録を続々と更新 『ブリジャートン家』の成功を紐解く

『ブリジャートン家』の成功を紐解く

 多様なオリジナルコンテンツを展開するNetflix。近年ではアカデミー賞へのノミネートや、韓国ドラマ『イカゲーム』が一世を風靡したことも記憶に新しい。その中で今一番観られている英語圏のドラマはご存知だろうか? そう、Netflixユーザーであれば一度は耳にしたことがあるだろう『ブリジャートン家』である。

 今年頭に配信された『セックス・アンド・ザ・シティ』シリーズのリブート版『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』でも、ミスター・ビッグが主人公のキャリーとベッドに入る際に、「どうしても君が欲しい」「『ブリジャートン家』のマネ」と言っていた。このような人気ドラマの中でも、具体的に作品名が挙げられているのが印象的である。Netflixによると、配信開始後28日で8200万世帯に視聴され、最も視聴されたオリジナルドラマとして記録を残したとのことだ(現在、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のシーズン4がその記録を打ち破ろうとしているが)。

 このドラマは1800年代のイギリスが舞台で、家柄や伝統に翻弄される貴族たちの恋愛を描いた物語。2022年1月にシーズン2が配信されたばかりで、シーズン3・4の制作も決定している。シーズン1では、ブリジャートン家の長女・ダフネ(フィービー・ディネヴァー)の結婚をテーマに彼女を取り巻く家族や男たちのストーリーも描かれる。シーズン2では、同じくブリジャートン家の長男・アンソニー(ジョナサン・ベイリー)の結婚までの道のりがテーマとなる。

新聞に翻弄される貴族たちはまるでゴシップガール

 物語は淡々と進んでいくのではなく、「レディ・ホイッスルダウン」という新聞が語り手となって進んでいく。このような物語の進み方は『ゴシップ・ガール』を彷彿とさせる。「ゴシップ・ガール」というサイトにNYのセレブ高校生たちの噂が書かれ、それによって彼らの行動すら変化してしまう物語だ。『ゴシップ・ガール』では『アナと雪の女王』でアナの声を演じたクリスティン・ベルが語り手をしていたことは有名だが、『ブリジャートン家』では『サウンド・オブ・ミュージック』や『メリー・ポピンズ』で知られるジュリー・アンドリュースが「レディ・ホイッスルダウン」として声の出演をしている。安心感のある声で、社交界のゴシップをばらまく役目であるためか、全て見透かされたような気持ちになる。

 そんな謎の新聞との駆け引きから、ダフネとサイモン(レゲ=ジャン・ペイジ)の恋は始まる。新聞に書かれる噂を利用するための、嘘の交際がきっかけになるのだ。一見『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)などのドラマでもあったような物語設定ではあるが、そこから彼らの想いが一致するまでのドキドキは、本当に私たちが恋をしているように感じさせてくれる。というのも、ダフネは恋愛経験がなく、子の宿し方すら知らない純粋な女の子であり、彼女を見ていると、視聴者としても自分の初恋に重ね合わせてしまうのだろう。

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