『未来への10カウント』山田杏奈の拳に込められた勇気 不幸話で明かされた桐沢の過去も
木村拓哉が主演を務める連続ドラマ『未来への10カウント』(テレビ朝日系)が4月28日に第3話を迎えた。
今回フィーチャーされるのは、桐沢(木村拓哉)がコーチを務める松葉台高校ボクシング部の女子部員・水野あかり(山田杏奈)。強くなるためにボクシング部に入部してきた水野は、桐沢に「ケンカで勝てるボクシングを教えてください」と頼み込む。その本当の目的は、母・響子(吉沢梨絵)を義父・今宮(袴田吉彦)の暴力から守るためだった。
演じる山田杏奈にとって、この水野という人物は特に挑戦的な役柄だろう。常に怒りという闘志を燃やし、山田としては初めてのボクシングへのチャレンジでもある。今宮を目の前にし恐怖で怯えていた水野は、桐沢の助けも借り、リングの上で今宮にボディーブローを決める(ギリギリの正攻法で)。
昨年の10月から撮影の合間を縫って練習してきた成果が見える、滑らかな動き。もともと山田は目力の強さが印象的な女優だが、この第3話では暴力に恐怖し、授業中に一人悩み、リングの上で拳に勇気を込めて殴るーーといった振り幅の広い演技が堪能できる。ボクシングの本当の楽しさを知った水野は、ボクシング部に復帰。本格的にインターハイ予選を目指そうとするその眼差しは真っすぐ未来を見据えている。5月7日からはヒロイン・茶川サチを演じる『17才の帝国』(NHK総合)がスタート予定。そのギャップもまた、ドラマ、そして山田の演技を楽しむ要素になるだろう。
また、この第3話が見事なのは、水野の物語を縦軸にしながらも、桐沢の過去にもしっかりとスポットが当たる点だ。水野が今宮を殴ることができたのは、リングの上で桐沢と今宮が“不幸話”をして本当に不幸だと思った方を審判の水野が殴る、といったルールを今宮が了承したからだ。そこで桐沢は「ボクシングのオリンピック強化選手だったが、パンチを食らって網膜剥離になりドクターストップでボクシング人生が終わってしまったこと」「気持ちを切り替えて学校の教師になり妻と出会うが、結婚して1年後に乳がんが見つかり半年後に妻が亡くなったこと」「友人に背中を押され焼き鳥屋を開業。繁盛するがコロナで店が潰れてしまったこと」を3ラウンドに渡って明かしていく。