『ちむどんどん』に遺る大森南朋の存在感 亡き父親たちはいつも朝ドラヒロインの支えに

『ちむどんどん』に遺る大森南朋の存在

 朝ドラのヒロインにとって、亡き父の存在は大きい。『とと姉ちゃん』の常子(高畑充希)は、妹たちが幼いときに父を亡くして以降、彼女たちの父親がわりになると決意し、奮闘してきた。『カムカムエヴリバディ』の安子(上白石萌音)は、菓子職人の父から元来、女性には教えないとされてきたあんこ作りを教わった。父の死後、その技術は安子の生活を支えたどころか、物語の大きな柱としての役割を担った。

 実は賢三も、暢子の知らないところで、大きな存在感を発揮している。三郎は突然訪問してきた暢子が、賢三の娘だとわかるとサッと顔色を変えた。房子も暢子が持っていた包丁が賢三のものだとわかると大きく目を見開いた。暢子は父の過去を“本土で働いたことがある”程度にしか知らないようだが、賢三の過去はこれからの物語のキーポイントになるのかもしれない。

 暢子は下宿先の居酒屋「あまゆ」で、三線を弾いている三郎の姿を一瞬、父と見間違える。本土の沖縄県人に囲まれて、楽しそうに優しく笑う賢三。てんやわんやしながらも自分で運命を切り開き、鶴見に辿り着いた暢子。その姿を一番喜んでいるのは、もしかしたら賢三なのかもしれない。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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