『インビジブル』柴咲コウ×永山絢斗、対照的な姉弟を見事に表現 警察内部の内通者は?
本物のインビジブルのキリヒト(永山絢斗)と姉・キリコ(柴咲コウ)の決裂の過去が明かされた『インビジブル』(TBS系)第6話。
元々犯罪コーディネーターをしていた父親からその手ほどきを受けて育った姉弟だったが、弟のキリヒトは父親のポリシーであるターゲットを“法では裁けない人たち”に絞るというルールも無視して暴走し始め、ゲーム感覚で犯罪ブローカーに成り下がっていく。その危険性に気づき彼を制止しようとした父親の存在が邪魔になり、父親にまで手をかけたようだ。
キリコはそんな弟を止めるために、現役時代の父親を唯一追い込んだ刑事・志村貴文(高橋一生)と手を組むことを思いつく。キリヒトは、キリコを自身の仲間として取り戻したいようだが、現在進行中の凶悪犯罪者“クリミナルズ”の一人“ドクター“の犯行からターゲットを一人でも救えればキリコのことを諦めると交換条件を突きつける。
“ドクター”の元に一人乗り込んだ志村を助けるためにその居場所情報と引き換えに、アメリカのクリミナルズの情報が入った本物のデータチップを差し出すキリコ。その姿にキリヒトは「そんなに大事なんだ、あの志村って男の命が」と不服そうに寂しさを滲ませる。そして「僕がこのデータを手にしたことで、また人が死ぬ。キリコも悪に加担した。僕とキリコは同じだよ」と、彼女を最も傷つけ追い詰め逃さない言葉を言い捨てた。この家系に生まれ、ありとあらゆる犯罪者とコネクションを持ち適材適所に配置するというある意味特殊能力を持つ影のフィクサー、ストーリーテラーである自分たちのことをキリヒトは“選ばれし者”だと思い、キリコは“(不本意ながら)選ばれてしまった者”だと思っているようだ。
父親が自身の所業を“必要悪”だと語っていたようだが、キリヒトはその範囲を超え、報酬次第でどんどん依頼を受ける殺人ブローカーに成り下がってしまう。自身の手は汚さずして、指一本で誰かの命や未来を掌握できると錯覚してしまうのだろう。そんな能力を持ち合わせた希少な存在ながら、それを行使しないキリコのことが歯痒く、自身から犯罪コーディネートを遠ざけようとした父親とも重なって見えるところがあるのかもしれない。それでも、彼がキリコに手を下さないのは、もちろん手を組んでビジネスを拡大したいという打算的な思いもある一方で、自分の中にもまだ残っているかもしれない良心のカケラを同じ境遇ながら“悪”に染まり切ってしまわないキリコの中に見ているからなのかもしれない。そして、そんなキリコを“悪”に引き摺り込むことでしか、彼の中での本当の意味での“計画の完遂”はないのではないだろうか。