観たことないスーパー戦隊! 『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』掟破りの展開に目が離せない

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』掟破りの展開

 ヒーローの素性も、個性的でクセが強い。ドンモモタロウは、普段は宅配の仕事をしている。しかし、赤ん坊のときに川から流れてきた桃型の機械に入っていた。人間ではないのかもしれないが、まだ謎は明かされていない。

 ブルーのサルブラザーは、周囲から「教授」と呼ばれ、俳句をたしなみ労働せずに生きる浮世離れした風流人。ブラックのイヌブラザーは、指名手配中だが「無実だ」と訴える逃走犯だ。ピンクのキジブラザーは30代既婚会社員。ダメ会社員だが人のよさが取り柄で、妻のみほちゃん(新田桃子)だけが生きがいだ。

 なぜ彼らはヒーローをしているのか、本人たちも視聴者もよくわかっていない。変身すると戦闘の場面に飛ばされ、戦闘が終わると元の場所に強制的に戻される仕様。つまり、変身前の姿での交流も多少はあるものの、お互いがヒーローだと認識している者もいれば、未だに知らない者もいる。

 「暴太郎(あばたろう)」には、「アバター」の意味もあり、変身するときは「アバターチェンジ!」と声をあげる。オンラインゲームで素性を知らないままに、声やチャットでやりとりをしながらともに戦う現代人の関係性を表しているようにも見える。共闘の意識が芽生えてきたものの、スーパー戦隊シリーズでお馴染みの、全員で変身してポーズを決めての“名乗り”を、11話までで一度もしていない。

 YouTubeの公式チャンネルではヒーローらしく勢揃いで変身し名乗りを決めてから戦うスピンオフストーリーが公開されている。彼らにこんな日が来るのだろうか。公式サイドの遊び心も、スーパー戦隊シリーズの楽しみ方だと知った。

コレがドンブラザーズの名乗りだ!暴太郎のホントの姿!?(「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」スピンオフ)

 一番気になるのは、キジブラザー=雉野つよしの妻である“みほちゃん”と、イヌブラック=犬飼翼の回想で出てくる恋人の“夏美”が、明らかに同一人物なこと。朝の子ども向け番組でこの展開は大丈夫なのか?

 ドンモモタロウ=桃井タロウの口癖は「これで縁ができたな」で、すれ違った人とすぐに縁を結びたがる。明るいキャラかと思いきや、嘘をつけないがゆえに友達のいない子ども時代を過ごした回想が出てきた。詳しく説明されないまま進むのに、リズムと勢いがよく楽しめる。親子でドタバタ劇を楽しみながら、裏に見え隠れするストーリーを味わう。

 11話までのストーリーでは、謎が少しわかったかと思えば、さらに新しい謎が生まれた。敵対勢力で、人間よりも高い能力を持ち人間の欲望を嫌う「脳人(のうと)」に加えて、正体不明の「獣人(じゅうと)」が登場し、不穏な空気が漂う。今後ドンブラザーズたちの結束は強まっていくのか。

■放送情報
『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』
テレビ朝日系にて、毎週日曜9:30~10:00放送
プロデューサー:井上千尋(テレビ朝日)、白倉伸一郎(東映)、武部直美(東映)、矢田晃一(東映エージエンシー)、深田明宏(東映エージエンシー)
出演:樋口幸平、柊太朗、鈴木浩文、別府由来、志田こはく、新田桃子
原作:八手三郎
脚本:井上敏樹
監督:田﨑竜太
アクション監督:福沢博文
特撮監督:佛田洋(特撮研究所)
(c)テレビ朝日・東映AG・東映

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