『ドラゴンボール超 ブロリー』をTVで観る喜び オールドファンほど楽しい3つのポイント

『ドラゴンボール超』をTVで観る喜び

 2018年に公開された映画『ドラゴンボール超 ブロリー』が地上波初放送となる。公開時に観た方はもちろん、各種配信サイトなどでも視聴可能な作品であっただけに、ドラゴンボール好きな方はすでに観ている人がほとんどかもしれないが、「『ドラゴンボール』をテレビで観る」ということに特別な思いがある人も多いのではないだろうか。

 1986年2月放送開始の“無印”の『ドラゴンボール』から、1996年1月に放送を終えた『ドラゴンボールZ』、外伝的扱いの『ドラゴンボールGT』まで、約10年以上にわたり放送されていたアニメ『ドラゴンボール』。現在、20代後半〜30代後半の方の中には、毎週水曜日に放送される『ドラゴンボール』が何よりも楽しみだったという方も多いことだろう。

 『ドラゴンボール』はアニメの放送終了後もさまざまなメディアミックスを展開し続け、いわゆる“リアルタイム世代”ではない層にも人気を拡大。世界各国でも、ドラゴンボール愛を公言する著名人は非常に多い。そんな状況の中、2013年には、原作者・鳥山明がストーリー制作などにも参加した『ドラゴンボールZ 神と神』、2015年には『ドラゴンボールZ 復活の「F」』が公開。2作を再構築し、『ドラゴンボール超』としたアニメシリーズの放送も開始された。『ドラゴンボール超 ブロリー』はそんな新シリーズの劇場版第3作目となる。

 『ドラゴンボール超 ブロリー』は、かつての『ドラゴンボール』を観ていた人ほど楽しめるポイントが3つある。

 1つ目は、悟空(カカロット)とラディッツの両親であるバーダック、そしてギネが登場する点だ。原作コミック、およびオリジナルシリーズで、悟空と瓜二つの父・バーダックは登場してきたが、母であるギネは本作が初登場。戦闘民族のサイヤ人でありながらも、非常に穏やかで優しい性格で、赤ん坊のカカロットに愛を注いでいたことが分かる。悟空は幼少期に頭を打って穏やかな性格になったという設定だが、ギネの性格もある程度受け継いでいた(後付とも言えるが)とも思える。原作では、カカロットとして地球に送り込まれたのは侵略するためという説明だったが、本作ではフリーザの襲撃を予期したバーダックが逃がす目的で地球に送ったことが明かされる。両親2人が幼いカカロットを送り出すシーンは、“ドラゴンボールらしからぬ”涙を誘う名シーンとなっている。

 2つ目は、タイトルにもなっている、本作の主人公と言ってもいいブロリーの存在。ブロリーは、劇場版シリーズ限定のキャラクターとして、過去3作に登場。『ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』(1993年)で初登場すると、“悪魔”と言っていい凶悪さ圧倒的な強さで、ドラゴンボール史上の中でも最強の敵として君臨した。旧劇場版のブロリーは、ほとんど会話もできないような状態で、常に悟空に怒りを向け、フルパワー状態は白目、自分の力をコントロールしていた父・パラガスも容赦なく殺すという、感情移入がまったくできない、ザ・ヴィランであった。対して、本作ではその設定が大きく変更されている。悟空やベジータも一対一では敵わない圧倒的なパワーという点はそのままだが、普段は心が優しくて純粋なサイヤ人という、まるで一時期の悟空のような性格になっているのだ。パラガスのことを「お父さん」と呼ぶブロリーを見たくなかった気持ちもあるが、悟空たちにただ倒される純粋悪ではなくなったこと、ブロリーが心を築いていく姿は、「何のために戦うのか」という『ドラゴンボール』への自己批評とも言える設定変更だったように思う。

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