『ちむどんどん』片桐はいり演じる下地先生の言葉が響く “借金返済イベント”の超展開も

『ちむどんどん』心に響く下地先生の言葉

 お、お母さん。借金をしておいて、返せない相手に娘の東京行きのお金を出せだなんて、豪胆すぎる……! そんな心のツッコミから始まった『ちむどんどん』(NHK総合)第24話は、未だかつてない超展開が繰り広げられた。

 元々、本作は比嘉家長男“ニーニー”こと賢秀(竜星涼)が好き勝手振る舞い、母・優子(仲間由紀恵)がそれを嗜めることもなく、暢子(黒島結菜)たち妹が引っ張り回される構図を作るためだけ(?)と思ってしまうような形で父・賢三(大森南朋)が死に、その後の困窮さを強調させた借金という存在も、棚の上にあげられるという超展開尽くしではあった。それはさながら、カートゥーンアニメ。このドタバタコメディをどのように楽しむべきか、視聴者が悩むのも無理はなかった。しかし、今回東京に行ったニーニーが“早速”プロボクサーデビューを果たし、60万円の仕送りを送ってくれるという“借金返済イベント”が発生した。

 子供時代から一体どうなったのか、視聴者が最も気になっていた要素の一つ、借金をこんな形で消滅させるとは。これはもう、人生ゲームである。賢秀は「ニート」のカードでスタートし、マンションを購入せず、ようやく資産を増やそうとすれば借金が重なるという、鬼ビター人生ゲームをプレイしていたのかもしれない。そして、ここにきてようやくルーレットの針が賢秀に微笑んだのだろう。「ボクサー」カードを手に入れ、初任給60万をゲットし、プレイヤー全員の約束手形も請け負ったというわけである。さて、次は誰がどんなマスに進み、どんな超イベントを見せてくれるのか。“人生ゲーム感覚”で観る楽しさに、ちむどんどんしてくる展開だ。

 結果、良子(川口春奈)は工面していたお金を取っておく選択肢をした。それが正しいか正しくないかはさておき、その動機は妹への愛で溢れている。そして、同時に彼女がずっとお洒落にお金を使ったことを悔い、一種のトラウマのようになってしまっていることもわかった。

「家族のために使いたい、それが私のためだから」

 その後の暢子とのやりとり、「フーチャンプルー、取ってくれてありがとう」というニクい演出に心動かされるも、良子が自分の幸せも叶えていいと、自分自身で思える日がくることを今は願いたい。彼女はずっと、自分の将来のために頑張って勉強をして、努力をしてきたのに、ここにきて自己の幸福の追求を恐れるようになってしまったから。

 同じような悩みを抱えていたのが、妹の歌子(上白石萌歌)だ。歌うのが好きだけど、恥ずかしがり屋で声も小さい。幼少期から体が弱く、すぐに体調を崩して兄妹や母親に迷惑をかけてきたことが、彼女の「わたしなんて」という自己肯定感の低下のきっかけになったのかもしれない。しかし、そんな彼女に金言を送ったのがあの、下地先生(片桐はいり)だった。

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