『ちむどんどん』賢三が遺した言葉の数々 大森南朋の“6日目”退場は早すぎた?
4月15日放送の『あさイチ』(NHK総合)に出演した大森は、四兄妹の父親に見えるよう意識し、家族揃っての食事の場面について「家族の距離、仲の良さが一番出せると思って大事にしていた」と語っている。食卓のシーンで子どもたちが夢中で食べる姿を穏やかな表情で見つめる大森の表情が印象深い。「おいしいものを大好きな人と食べると誰でも笑顔になるからな」「暢子が食べるのを見てたら、こっちまで幸せさ」といった言葉は、暢子の心に刻まれたはずだ。
朝ドラヒロインの父親像といえば、『スカーレット』の常治(北村一輝)や『おちょやん』のテルヲ(トータス松本)のような“ダメ親父”、“クズ父”が登場し強い印象を与えるが、賢三は彼らとは正反対の存在だろう。ヒロインを見守る父親も多々いる中で、語り部として主人公・なつ(広瀬すず)を見守っていた『なつぞら』の“亡き父”(内村光良)のような雰囲気を賢三にも感じる。なつの父は料理人で、絵を描くのが上手だった。なつ、そして妹の千遥(清原果耶)はそれぞれアニメーターと料理人となるが、間接的に父の影響を受けている。今後、賢三や優子の過去について語られるとき、再び賢三の姿を見られるかどうかはまだわからないが、暢子たちもまた、父の影響を受けるのではないか。
賢三の最期、大森は「暢子は、暢子のままでいい」という思いを病床で見せた優しい微笑みにしっかりとのせていた。大森は公式インタビューで「ふだんはあまり役作りをしないんです」(※)と話すものの、賢三の心情や一人の人間だからこそ生まれる気持ちのブレについて考えている。早すぎる退場には驚かされたが、大森が賢三の細かな感情を表現してきたからこそ、ヒロインの父親として、そして一人の人間としての賢三の姿はこの先の放送でも決して忘れられないだろう。
参照
https://www.nhk.or.jp/chimudondon/topics/interview/03.html
■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK