ファーストサマーウイカはいつから"俳優"だったのか 劇団時代から培ってきた才能が開花

“俳優”ファーストサマーウイカのキャリア

 4月期からドラマ『私のエレガンス』(BSテレ東)で連ドラ初主演を務め、4月27日放送のドラマ『ナンバMG5』(フジテレビ系)の第2話にヤンキー役でゲスト出演することも発表されたファーストサマーウイカ(以下、ウイカ)。世間的なイメージは、BiSでのアイドル活動や歌手活動からのバラエティ進出の印象が強く、役者活動はここ最近のように思えるが、実はキャリア初期から舞台に立っている。ある意味、俳優に戻っていくような彼女のキャリアを振り返りたい。

ナンバMG5
『ナンバMG5』(c)フジテレビ

 凛とした顔立ちから発する関西弁と毒舌でバラエティタレントとしてブレイクし、歌手、俳優、ラジオDJなど、マルチな才能で独自のポジションを築くウイカ 。俳優としては、バラエティなどで見せるイメージから元ヤンキーキャラを演じることが多いが、平成世代の中では珍しい、人情味あふれる役者という印象だ。

 1990年大阪生まれのウイカは、高校を卒業してから5年ほど関西で演劇活動をしている。自身のルーツを地元で振り返った、2021年8月26日放送の『アナザースカイ』(日本テレビ系)では、中学の卒業文集で「片桐はいりさんみたいな主役を喰う脇役者になりたいです」と書くほど、役者になりたいという思いをずっと抱えていたことを明かしている。親に「女優になるにはどうしたらいい」と相談すると、母親に「古田新太さんだって生瀬勝久さんだってみんな劇団からやってんねん。だから芝居で大きなろうと思うんだったら劇団しかないわ」と言われ、「大阪 劇団」で検索して、一番上に出てきた「劇団レトルト内閣」へ2009年に入団し、18歳で初舞台に立つ。骨太のストーリーを軸に、オリジナル劇中歌やシュールな笑いを折り込む作風で「エレガンスロック」を掲げる劇団に、バイトや派遣OLをしながら本名の「初夏」で活動をはじめた。

 劇団で演じた役に関しては、ザ・テレビジョンのインタビューにて「だいたい怒ってましたね(笑)」と語っていたように、狂気じみた役や、歌唱力が評価されてアイドル役などを数多く演じてきた。地味な姿と弾けた姿の両極端の演技や、舞台で歌声を聴かせるなど、後の“ファーストサマーウイカ”の基礎が構築されていく。今も劇団に籍を置いており、「一人でも私を通じて劇団レトルト内閣を知って、還元できたら」と、その理由を語っている。そうした義理や繋がりを大事にする性格が、彼女が俳優として成功した要因の一つだろう。

 役者としてステップアップしたいと22歳で上京し、BiS全員面接オーディションをTwitterで見つけ、2013年5月26日に加入、「ファーストサマーウイカ」として活動を開始。加入当初から新人とは思えないステージパフォーマンスや、どんな過激なこともウェルカムという余裕を感じたのは、5年の舞台経験とBiSの破天荒さとの波長が合致した結果だと言える。

 BiSは加入から1年ほどで解散し「BILLIE IDLE」へ。その間に、BiS加入前に主演した未公開のインディペンデント映画『月震のかずみ』(金子陽介監督作)が2014年に公開された。当時は彼女の役者時代があまり知られていなかっだけに、その死を連想させる静かな演技など俳優としての才能が注目され、自身も女優魂が再燃するきっかけとなり、音楽活動の傍ら俳優業を再開。その際に、かつて劇団に入る前に父親に紹介された役者のコング桑田に連絡を取り、2017年4月から数多くの役者を抱える芸能事務所キューブに所属し、本格的に俳優業を始動させた。

 2019年1月放送の『女が女に怒る夜』(日本テレビ系)でバラエティタレントとしてブレイクした年に、黒木華主演ドラマ『凪のお暇』(TBS系)で、1話ごとに異なる役柄で全話に出演し注目を集める。ヤンキー風の八百屋の店員や黒髪の真面目そうなOL、婚活パーティーの司会者など十人十色を演じた。当たり前のように場に溶け込み、「こういう人いるよな」と思わせる芸達者ぶりは、まさに舞台経験の賜物。俳優としても面白い存在だと世間が知るきっかけとなった。

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