『ちむどんどん』和彦役・田中奏生が体現する“難しい年頃” 過去には木村拓哉との親子役も

『ちむどんどん』和彦役・田中奏生の名演

 『ちむどんどん』(NHK総合)で、アメリカ統治下の沖縄本島北部・やんばる地域で伸び伸びと育ってきた比嘉兄妹に、この大自然以外の世界があることを感じさせる存在を担うのが、東京からやって来た転校生・青柳和彦(田中奏生)だ。

 民俗学者として東京の大学で教鞭を執る父・史彦(戸次重幸)の研究旅行に同行し、この地にやって来るも最初は全く異なる環境へのカルチャーショックもあってか「沖縄になんか来るんじゃなかった……」と気乗りしない様子を見せていた和彦。そんな彼が、比嘉家と交流を重ねるうちに沖縄の人のおおらかさに心を開き許していく姿が印象的だった。普段から落ち着いておりクールな和彦ながらも、相手への眼差しやちょっとした声色の違いから彼の中で起きている心境の変化やテンションの上下が伝わってくる。どうやら、和彦の両親はあまり仲が良くないようで、家族揃ってわいわい食卓を囲む比嘉家の騒がしくも愛に溢れた日常は、まさに彼がこれまで飢えていたものだったようだ。

ちむどんどん(第3話)

 今では、比嘉兄妹それぞれと文通をする面倒見の良さまで垣間見え、父・史彦と共に彼らを見守る相談相手のような存在になっている。“異文化交流”の醍醐味は、相手に興味を持ち、自分とは異なる価値観に触れることで、自分自身の“当たり前”についても新たな発見がもたらされることにあると思うが、比嘉兄妹と和彦のやりとりはまさにそれを体現しているように思える。

 和彦役を演じる田中奏生は、本作が朝ドラ初出演。『BG〜身辺警護人〜』(テレビ朝日系)での木村拓哉演じる主人公・島崎の息子・瞬役で注目を集め、『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』(フジテレビ系)では技師長・小野寺(遠藤憲一)の息子役も好演していた。いずれも父子関係にどこか距離感があるような役どころで、本作で史彦が言っていた「ちょっと難しい年頃」特有の不器用さやままならなさ、苛立ちを内に秘めるようなキャラクターが印象的だった。

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