山田涼介の“可愛さ”の二面性を堪能できる? 『俺かわ』で俳優としての凄みを再確認

『俺かわ』で山田涼介の二面性を堪能

 もしも、山田涼介がアイドルになっていなかったらーー。4月16日にスタートした『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』(テレビ朝日系/以下『俺かわ』)は、そんな “if” の世界をのぞき見できるドラマだ。

 主人公の丸谷康介(山田涼介)は、可愛いを武器に受け身の人生を謳歌してきた29歳。会社の広報としてビールを宣伝すれば、「タレントかと思った」「このビジュはけしからん!」と絶賛コメントが殺到。普通に仕事をしているだけでも、“可愛いバイアス”のおかげで、できる社員のように思わせることができる。たとえ失敗したとしても、「キュルっとした瞳で謝罪すれば、万事解決!」というのは、なんとも羨ましい。

 可愛いの魔法にかけられたように、すべての人が丸谷の虜になっていく。若干、ファンタジー要素が強い設定ではあるが、もしも山田涼介が一般社会で生きていたら……と考えると妙に納得してしまった。あのビジュアルが営業マンとして会社にやってきたら、「アイドル!?」と二度見してしまうことだろう。彼の端正な顔立ちは、作品の説得力を高めることにもつながっている。

 そんな丸谷の人生が、“おっさん”(古田新太)にかけられた「でも、この可愛いはもうすぐ終わっちゃうんだよな」の一言で変わり始める。これまでは、キラースマイルを放つと何でもうまくいったのに、後輩の真田和泉(芳根京子)は愛想なくスルー。恋人の森保莉子(鞘師里保)には、「(康介は)自分のことにしか興味ないんだよ!」とフラれてしまう。さらに、康介の可愛いを脅かす後輩・一ノ瀬圭(大橋和也)まで現れて……。

 この一ノ瀬が、丸谷とはまたちがった角度の可愛さを持っているのだ。元気で一生懸命で、どこか守ってあげたくなるような。それに、入社3年目でフレッシュな一ノ瀬と比べると、丸谷のベテラン感は否めない。「可愛いね」「若いね」と受け身で生きてきた彼が、能動的に動いていかなければならない時が迫ってきているのだろう。だって、もうすぐ30歳なのだから。“29歳”というのは、自分と向き合わなければならない年齢なのかもしれない。許されていたことが許されなくなって、“将来”が急に現実味を帯びてくる。

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