DCがMCU的な手法で製作 『ピースメイカー』はアクションもお下劣も大人向け!?

『ピースメイカー』は大人向けDC作品

 ここでちょっとコミックにおけるピースメイカーというキャラについて説明しましょう。実は彼には極めてユニークな背景があります。もともとDCではないチャールトン・コミックスという出版社から、1966年にデビューしたヒーローものなのです。後にチャールトン・コミックスをDCが買収。DCユニバースの一員となりました。1988年にDCコミック版の『ピースメイカー』のシリーズが刊行され、以後ちょくちょく他のヒーローコミックにゲスト出演しています。今回のドラマの中に「(背中に背負う)ジェットパックが欲しい」というセリフがありますが、コミックでは確かにそれを使って空を飛んだりします。(ちょっとボバ・フェットみたいです)。

 “バタフライ計画”と聞いて、ピースメイカーは今度の敵は「モスラみたいな怪物!?」と言います。そう日本のモスラです(笑)。『ザ・スーサイド・スクワッド』では“スターフィッシュ=ヒトデ計画”と聞いて巨大なヒトデ型エイリアン(スターロ大王)が出てきたのでそう思ったのかも。ガン監督は日本の怪獣映画のファンもあるので、このセリフにしたのでしょうね。ピースメイカーが鷲に「ワッシー」という安直な名前を付けて相棒にしていますが、原語では鷲=イーグルを「イーグリー」と呼んでいます。

 ノリノリで楽しいヒーローコメディですが、かなりお下劣な会話やアダルトな描写もあるのでご視聴注意です(よくあるアメコミヒーローものだと思って、お子様と一緒に観てはダメですよ!)。一方、アクションシーンやほとんどホラーな敵の怖さなどは見ごたえあり。ギャグとアクションのバランスが絶妙です。ヘルメットごとに様々なパワーを発揮するという設定もユニーク。このヘルメットを作る、主人公の狂った父親オーガストを演じるのは、『ターミネーター2』のT-1000こと演じたことで知られるロバート・パトリック。だから彼が“銀色の物体”を持つとワクワクしてしまいます。

 また、『ザ・スーサイド・スクワッド』が『ジャスティス・リーグ』とか『アクアマン』の世界とリンクしているので、バットマンやアクアマンの名前が出てきます。第1話のアクアマンのディスりネタは大笑いしてしまいましたが、怒られないのか心配です。とはいえ、こういうイジリを次回以降も期待したいですね!

■配信情報
『ピースメイカー』(全8話)
U-NEXTにて、見放題で独占配信中(毎週1話ずつ配信)
プロデューサー:ラース・ウィンテル、ジョン・H・スターク
製作総指揮:マット・ミラー、ピーター・サフラン、ジェームズ・ガン、サイモン・ハット(共同製作者)、ジョン・シナ(共同製作者)
脚本:ジェームズ・ガン
出演:ジョン・シナ、ジェニファー・ホランド、スティーヴ・エイジー、ダニエル・ブルックス、チュクーディ・イウジ、フレディ・ストローマ
日本語吹替版キャスト:大塚明夫、水樹奈々、遠藤純一、斉藤貴美子、上田燿司、前野智昭
Peacemaker and all related characters and elements(c) &TM DC and Warner Bros. Entertainment Inc.

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる