『二十五、二十一』全身全霊で愛し合ったヒドとイジン 別れの先にある人生を歩む最終回に

『二十五、二十一』が迎えた最終話

 「私たちの時代だった」。この言葉に尽きる、Netflix配信中の『二十五、二十一』。誰かの時代が終われば、また誰かの時代が始まる。1998年から始まったナ・ヒド(キム・テリ)たちの時代があった。2022年、「泣いて笑って、挫折して幸せになる自分の話を書く」。ヒドの娘ミンチェ(チェ・ミョンビン)の物語が幕を開けることになるのであった。

 マドリードオリンピック大会の決勝戦には、ヒドとコ・ユリム(ボナ)が向かい合っていた。緊張感が漂う重々しい雰囲気は、アジア大会以来だ。「ユリムに勝てるのか?  お前のために大勢が力を注いでいる」とコーチに怒鳴られるヒド。かつてユリムが言われてきた重圧をヒドが背負い、アジア大会でバッシングを受けたヒドの次は、ユリムが非難されている。

 人は勝手だ。自分たちの都合で言いたい放題で、心ない言葉を投げる人は昔も今も変わらずにいる。けれど、2人はあの頃とは違う。ヒドがユリムを追いかけていたのが、今はお互いが一番の理解者となり、一番のライバルになったのだから。戦いを終え、「今日は幸せだった」と強く抱き合う2人。これがヒドとユリムの関係のすべてなのである。

 一方、ヒドとペク・イジン(ナム・ジュヒョク)の距離に変化が起きる。「あなたを手に入れる」が「すべてを分けてもらう」となり、「一緒にいる時は幸せになろう」から「つらい時は一緒に苦しもう」に変わったヒドの気持ち。2人の距離は近づいているはずだったのに遠くなってしまった。

 第2話のラストで幸せの時間を作る2人に流れた曲「二十五、二十一(原題)」は、第15話ではすれ違うヒドとイジンの間に流れることになってしまった。2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロによりニューヨークに派遣されたイジンは、ヒドとまた離れ離れに。携帯がなかった頃は、たった1件のメッセージを公衆電話で何度も聞いて励まされていた。なのに、いつでも電話をかけられるカップルプランに入っている今の方が距離を感じる。

 目の前に広がる生き地獄にヒドの応援が届かなくなっていたイジン。ヒドが幸せならそれでいいイジンの愛は、悲しみもつらさも分け合いたかったヒドの愛をやってみることができなかったのかもしれない。

 “誰も悪くない”別れは、嫌いになって別れるよりもずっとつらい。だけど、イジンの父親を捜すヒドを全力で追いかけたあの時と同じように、イジンは変わらずヒドに向かって走り出し、ヒドはというと以前のようにスリッパで走り回ることはない。そして苦しむ2人の未来は、もうそこにはなかった。

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