『二十五、二十一』ヒドの幸せをつくるイジン 辞める勇気をみせたスンワンの決断にエールを

『二十五、二十一』スンワンの決断にエール

 子どもでも大人でもない。高校生を表現する例えのひとつだ。どちらと言い切れなくても、ナ・ヒド(キム・テリ)やコ・ユリム(ボナ)たちのように18歳から19歳のたった1年でも顔つきが変わる。本人が、そして大人たちが思っている以上に成長しているのだ。Netflixで配信中の韓国ドラマ『二十五、二十一』の第11話と第12話では、“自分の人生を自分の意思で選択する”彼らの姿があった。

 亡くなった父親の話になると口を閉ざしてきたヒドの母親(ソ・ジェヒ)。望んで話さなかったわけではない。「避けてきたからこそ生きられて、忘れれば救われた」、それが彼女の悲しみに耐え、乗り越える方法だった。そんな母親を許せないヒドの心は13歳のまま。けれど、約束を破って自分を傷つけた母親がキャスターとして活躍する姿で「あんな人になりたい」とペク・イジン(ナム・ジュヒョク)に夢を与えていたと知ったヒドは、「それはいいかも」と言える19歳になっていた。「お父さんにすごく会いたい」とやっと涙を流せた母親がいて、抱きしめてあげる娘がいるのは、ヒドが成長している証拠である。

 高校フェンシング部の後輩イェジは「フェンシングを辞めたい」とヤン・チャンミ(キム・ヘウン)コーチに申し出るが、受け入れてもらえずにいた。提示された条件は、全国大会でベスト8に入ること。猛練習に励むイェジを見て、結果を出せばフェンシングを辞めないだろうと思われた。ところが、目標を達成したイェジは「私のフェンシング人生はここまで」と潔く幕を閉じ、自分の決断を貫いたのだった。

 フェンシングを諦める勇気ではなく、“新しいことを始める勇気”を教えてくれたヤンコーチ。これから先、イェジがまた校門を抜け出したくなった時、立ち直れるように最後まで応援していたのだ。新しいチャンスを得るためにどれだけ頑張ったかという経験がイェジの糧となると願って。

 ヤンコーチのように生徒に機会を与える指導者もいれば、体罰を教育の一貫とする教師もいる。彼らの教育は一方的で、そこに生徒の言い分は存在しない。これにより、教師の体罰を「間違っている」と主張したチ・スンワン(イ・ジュミョン)は自主退学の道を選ぶことに。

 学年1位で人気者の委員長という順調に歩む人生より、間違った世界で生きない選択したスンワンの決断やイェジの答えにはっとさせられる。たとえ自分が無知だと思い知らされ、納得できない社会があっても「私が正しい」と自分の選択を正解にして歩もうとしている。闘うことしかできない娘の気持ちを受け止め、ものすごい迫力で学校に乗り込んだスンワンの母親や次のスタートラインを引いて待っていてくれたヤンコーチは、彼女たちを尊重し未来を恐れずに進めるように大人の役割を果たしていた。

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