『二十五、二十一』“揺れてたい”イジンに待ち受けていた試練 失う覚悟で挑むヒドとユリム

『二十五、二十一』揺れてたいイジンの試練

 やらなければよかった、でもやってみないとわからなかった。傷つくのが怖かった、でも傷ついたから今がある。新しい世界に飛び込むと想定外の出来事にいちいち立ち止まってしまうけれけど、簡単にいかないから笑い話になり、思い出になることもある。もしムン・ジウン(チェ・ヒョヌク)が簡単に駐車できていたら、皆で車を持ち上げることはなかっただろう。ナ・ヒド(キム・テリ)が新しい自分と出会えたのも、ペク・イジン(ナム・ジュヒョク)を愛したからだ。

 「何でも挑戦だよ、挑戦したら答えが出る」と言えるのは諦めなかったヒドだから。「一度は手に入れた。それが大事」と声をかけられるのは金メダルを手にしたコ・ユリム(ボナ)だから。Netflixで配信中の韓国ドラマ『二十五、二十一』の第13話と第14話、彼女たちは失う覚悟を持って自分の道を歩み出す。

 「愛はむずかしすぎる」と、ヒドが叫ぶ。愛が通じ合う瞬間は最高潮でこの上なく幸せなもの。しかし、少しでもズレてしまえば一瞬で不安へと変わってしまう。愛が始まると同時に、愛を失うかもしれない未来ができてしまうから。

 ヒドの成長を誰よりもそばで見ていたくて、爪の内出血が治ったのか誰よりも心配するイジンの愛。会いたいから寒い中でも1時間待ち、キスしたかったからする。どんなにムカついてもイジンが大好きなヒドの愛。ペク・イジン記者、ナ・ヒド選手と呼ばれる今をつくり上げてきたのは、間違いなく2人の“愛”だ。なのに、その関係性がイジンを苦しめているではないか。やっぱり愛は、むずかしすぎる。

 高校生最後の試合。個人戦で負けた選手に「大したことない」と言われても素直に受け止める立派な選手の顔と、数秒後にはシール1枚ではしゃぐ一面を見せるヒド。そんなヒドを見守るのがイジンの愛と言うけれど、ヒドが男の先輩と親しげに話す様子に嫉妬して子どもみたいに振る舞うのは「揺れていたい」イジンの姿なのだろう。

 ならば、乗り越えていくしかない。問題なのは愛の方向性ではなく、時に残酷な愛に覚悟を持つこと。第5話で離れ離れになったヒドとイジンに雪が舞ったあの夜、イジンが一線を越えてヒドの手を掴んで走り出したように。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「海外ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる