受賞後に公開拡大 『コーダ あいのうた』の理想的なオスカー興行

『コーダ』の理想的なオスカー興行

 そして、肝心の作品賞、そして助演男優賞、脚色賞の3部門を受賞した『コーダ あいのうた』について。同作が公開されたのは2ヶ月前の1月21日。当初は約200スクリーンで公開されて週末動員ランキング7位に初登場、現時点で約140スクリーンまで縮小していたが、今週金曜日の4月1日から250スクリーンに、そしてその翌週以降は300スクリーン以上に拡大公開される予定だという。授賞式前に作品を公開して、受賞後に公開拡大。そこでどれだけ結果がついてくるかはまだわからないが、流れとしてはまさに理想的なオスカー興行だ。

 もっとも、『コーダ あいのうた』は配給元のギャガが独自に買い付けた日本以外の多くの国ではApple TV+で昨年の8月から視聴可能だった作品だ。劇場公開と配信公開、どちらが作品にとって幸福なのかは作品によっても異なるし意見も分かれるところだが、海外ではとっくに配信公開されていた作品にわざわざ劇場公開の道筋をつけた以上、都市部以外の観客も観られる機会を作るのは配給元の責務とも言えるだろう。

■公開情報
『コーダ あいのうた』
全国公開中
監督・脚本:シアン・ヘダー
出演:エミリア・ジョーンズ、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、マーリー・マトリン
配給:ギャガ
原題:CODA/2021年/アメリカ・フランス・カナダ/カラー/ビスタ`/5.1chデジタル/112分/字幕翻訳:古田由紀子/PG12
(c)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
公式サイト:gaga.ne.jp/coda

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