受賞後に公開拡大 『コーダ あいのうた』の理想的なオスカー興行

『コーダ』の理想的なオスカー興行

 先週末の動員ランキングは、『SING/シング:ネクストステージ』が土日2日間で動員23万8000人、興収3億1400万円をあげて2週連続1位。公開から10日間の累計は動員108万8287人、興収13億8993万7630円となっている。土日2日間で動員22万1000人、興収3億1000万円をあげて僅差で初登場2位となったのは映画『おそ松さん』。初日から3日間の累計は動員45万8906人&興収6億4283万円で、同期間の『SING/シング:ネクストステージ』を上回っている。

 さて、濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』の国際長編映画賞受賞、そして主演男優賞を受賞したウィル・スミスが突然壇上に上がって人気コメディアンのクリス・ロックを平手打ちしたアクシデント(本国メディアでは「オスカー・スラップ」と呼ばれている)によって、ここ日本でも例年以上に大きな話題となった今年のアカデミー賞。各章の受賞結果、及び授賞式後の各メディアにおける大量露出は、興行にどの程度影響を及ぼすだろうか?

 昨年8月20日に公開されてからロングランが続いている『ドライブ・マイ・カー』に関しては、作品賞、監督賞、脚色賞、そして今回受賞した国際長編映画賞の4部門へのノミネートが発表された今年2月の時点でスクリーン数が倍増するなど一度大きな追い風が吹くことになったが、授賞式直前の先週末の時点で動員ランキング10位に再浮上。授賞式後のウィークデイにはトップ5にも食い込む健闘を見せていて、今週末の成績にも大いに期待ができる。

 一方、話題の量では他を圧倒することとなったウィル・スミスの主演男優賞受賞作『ドリームプラン』だが、公開から1ヶ月が経過して既に多くの劇場で公開終了、もしくは夜の時間帯に上映1回のみになるなど大幅に縮小されてしまっている。配給のワーナーはローカルプロダクション作品の『余命10年』がロングヒット中、『THE BATMAN -ザ・バットマン-』も拡大公開中、4月8日にはブロックバスター作品『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』の公開も控えているので、ここからの公開規模拡大は期待薄。ウィル・スミス自身が受賞スピーチで触れていたように、今回の行動は『ドリームプラン』で演じたビーナス&セレーナ・ウィリアムズの父リチャードの生き様と(良くも悪くも)地続きなものだっただけに、作品未見のままゴシップとして今回の件を消費している人にはできれば観てほしい作品なのだが……。

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