『半妖の夜叉姫』それぞれの家族の姿 とわ、せつな、もろはが最終回で迎える未来は?

『半妖の夜叉姫』にみるそれぞれの家族の姿

 一方、そんな麒麟丸と対照的な父親として描かれたのが殺生丸だ。殺生丸は生まれて間もない娘たちを“剛臆の試し”と称し、時代樹を囲む森の中に置き去りにした。それは自分たちを滅ぼしかねない半妖を警戒する麒麟丸やその姉・是露から守るためでもあったが、心のどこかで娘たちがどんな困難も乗り越えられると信じていたからだろう。その後も遠く離れた場所からとわとせつなを見守り、時折姿を現しては彼女たちの成長に繋がるヒントを残して去っていった。麒麟丸との最終決戦においても、自分がとどめを刺しては娘たちが救われないと、最後の一手は見違えるように強く逞しくなったとわに託している。

 とわが、希林に自分が殺された時の幻影を見せられ、トラウマに苦しむりおんを「自分を信じて戦え」と励ますシーンに胸を打たれた人も多い。その言葉のおかげでりおんは自分の力で幻影を打ち消すことができ、彼女は自分がいないと何もできないと思っていた希林も同時に消えていく。麒麟丸もそんなりおんの姿を見て、安心した笑顔を浮かべていた。

 子どもを庇護する対象として束縛するのではなく、対等な1人の存在として、たとえ自分がいなくとも生きていける強さを与えるという深い愛情を見せた殺生丸。それは十六夜の形見である紅を握らせ、八衛門にもろはを託したかごめも、娘が成長した姿を見て満足げにしていた犬夜叉も、殺生丸を信じて娘たちとの別れを受け入れたりんも、現代でとわの親代わりとなり、彼女を戦国の世に快く送り出したかごめの弟・草太も同じだ。「かわいい子には旅をさせよ」というが、親からの信頼を得た子どもたちが未来を切り開いていくという展開がアツい。彼らの健全な愛情が、解けた麒麟丸とりおん親子の絆を結び直したのだ。

 『半妖の夜叉姫』は大団円を迎え、最終回では再び平和が戻った戦国の世で穏やかに暮らす殺生丸と犬夜叉、それぞれの家族の姿が描かれる。タイトルは「永遠に続く未来」。とわ、せつな、もろはの3人が新たに進む未来を見届けたい。

■放送情報
『半妖の夜叉姫 弐の章』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週土曜17:30~放送
監督:菱田正和
シリーズ構成:隅沢克之
メインキャラクターデザイン:高橋留美子
アニメーションキャラクターデザイン:菱沼義仁
音楽:和田薫
アニメーション制作:サンライズ
製作:サンライズ、小学館、読売テレビ
(c)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ 2020
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