北米では大当たりの『THE BATMAN-ザ・バットマン-』、日本では無難なスタート?

『ザ・バットマン』日本では無難なスタート?

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 先週末の動員ランキングは、1位が『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』、2位が『余命10年』と、トップ2は先週から変わらず。先週の本コラム(コロナ禍でも根強い恋愛映画のニーズ 『余命10年』にロングヒットの予兆)でも取り上げたように、驚くべきは『余命10年』のウィークデイの強さ。結果、公開から10日間の累計興収では『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』が8億1920万7600円、『余命10年』が興収9億3754万9230円と、『余命10年』の方が14%ほど上回っている。もっとも、『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』のウィークデイ興行に関しては小学校や幼稚園が春休みに入る今週からが本番。3月21日には全国的にまん延防止等重点措置が解除される見込みで、映画界にとって3年ぶりの「平時の春休み興行」も追い風となるだろう(海外では戦争、国内では地震と、厳密にはとても「平時」とは言えませんが)。

 今週取り上げるのは、3月11日(金)に公開されて、先週末3位に初登場した『THE BATMAN-ザ・バットマン-』。土日2日間の動員は15万2000人、興収は2億4700万円。初日から3日間の累計では動員23万341人、興収3億7020万2640円。DC作品でありながら、ユニバースからは外れたスタンドアローン作品として企画された長編映画として比較対象となるのは2019年に公開された『ジョーカー』となるが、その『ジョーカー』と初日3日間の興収と比べると約49%という成績。とはいえ、最終興収50.6億円と、日本でも社会現象的大ヒットを記録した『ジョーカー』が相手ではいかにも分が悪い。DCのユニバース作品の長編映画で最後にバットマンが登場した2017年公開の『ジャスティス・リーグ』の初日3日間の興収と比べると、その約86%とまずまずの成績。ただし、その『ジャスティス・リーグ』は2週目以降まったく伸びず、最終興収は11億円にとどまっている。ラッキーなことに外国映画の実写エンターテインメント作品という括りではしばらく強敵が見当たらないこともあり、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』もひとまずは10億円台に乗せることが目標、そこからどこまで伸ばせるかといったところだろうか。

 ユニバース作品だと日本では興収10億円以下に沈むことも少なくない一方で、『ジョーカー』のようにヴィランを主人公にしたスタンドアローン作品にもかかわらず特大ヒットとなることもあるDC作品は、基本的には高値安定が続いているマーベル作品と比べると興行が非常に読みにくい。今回はバットマンというDC屈指の知名度を誇るヒーローの作品でありながら、176分という上映時間の長さ、さらに全編異様に暗い画面(ストリーミングやソフトやテレビ放送を待つのではなく映画館での鑑賞を強くオススメします)と、ライト層を拒むような作風となっているのもDC作品の天邪鬼さを象徴していると言っていいだろう。

 もっとも、北米では昨年までのワーナー作品の「劇場公開同日にHBO Maxで配信」という縛りが解けたことも影響しているのだろう、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』は初週の興収が1億2850万ドル(約148億円)と今年最高のオープニング成績を記録。現時点ではまだ続編製作はほのめかされているだけで正式には発表されていないが、同じく続編の噂だけが何度も浮上している『ジョーカー』のトッド・フィリップス&ホアキン・フェニックスという一筋縄ではいかない超異才同士のタッグよりも、マット・リーヴス&ロバート・パティンソンのタッグの方が可能性は高そうだ。ところで、ハリウッド映画では同じ監督による続編となると前作よりも上映時間が長くなるのが通例。つまり、もし続編があるとしたら確実に3時間を超えてくる!?

■公開情報
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
全国公開中
監督:マット・リーヴス
脚本:マット・リーヴス、マットソン・トムリン
出演:ロバート・パティンソン、コリン・ファレル、ポール・ダノ、ゾーイ・クラヴィッツ、ジョン・タトゥーロ、アンディ・サーキス、ジェフリー・ライトほか
配給:ワーナー・ブラザース
(c)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (c)DC
公式サイト:thebatman-movie.jp

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