『カムカムエヴリバディ』火曜日は算太の日に 濱田岳が体現したクリスマスの奇跡

『カムカム』算太が体現したクリスマスの奇跡

 クリスマスイヴに「大月」にやってきたサンタ黒須こと算太(濱田岳)は、るい(深津絵里)と約40年ぶりの再会を果たす。

 『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第94話。火曜日は算太の日である。安子編の第2話で算太はダンサーになると宣言し、第7話ではダンス教師になった算太が岡山に帰郷するも、借金取りに追われて姿をくらます。戦地から復員した第32話で安子(上白石萌音)に「たちばな」の再建を持ちかけるが、翌週の第37話ではその資金を持ったまま蒸発。ふたたび姿を見せたのはひなた編の第79話で条映映画村のCM撮影に乱入し、二代目モモケン(尾上菊之助)に振付指導をする。「大月」を訪れた算太が、るいを目にして姿を消したのが第84話だった。

「ちょっと迷子になってしもうたんじゃ」

 10年ぶりの再会に加えて、るいから算太が大伯父であると聞かされたひなたは驚きを隠せない。穏やかな口ぶりのるいは、冷静さを装っているようにも見える。戸惑いを察して、算太は回転焼きを口にする。「間違えねえ。こらあ、たちばなのあんこじゃ」。複雑そうな表情のるいと、頭の中が疑問符でいっぱいのひなた。どこから話し始めればよいか思案に暮れていると、タイミングよく錠一郎(オダギリジョー)が入ってくる。錠一郎は算太に泊まっていくよう勧め、算太は大月家で食卓を囲むことになった。

 ダンス好きな優しい兄の面影は算太の中に残っていて、ひなたと桃太郎(青木柚)をパンのダンスで喜ばせる。野球部でレギュラーを取った桃太郎に、勇(村上虹郎)のようだと目を細めた。るいは岡山を出てから雉真家と縁を切っていたため、ひなたと桃太郎が勇のことを聞いたのはこれが初めてだった。質問が止まらないひなたとは対照的に、るいの口は重くなる。翌朝、小豆を炊く声で目が覚めた算太は、るいから42年前の真実を尋ねられる。

「ホンマのことを教えて。あの時、伯父さんはなんで姿消したん?」

 幼かったるいは、安子が算太を追って大阪へ行ったことを覚えていた。あの日の因縁がようやく清算されるかと思われたが、束の間の沈黙を経て、口を開いた算太は「そねん昔の話あ、もうええじゃろう」と口を濁し、部屋に戻ってしまう。2人の間に去来する言葉にならない感情。母に捨てられたるいの未練は、時が経ち、なぜ母は自分を捨てたのかという疑問に変わっていた。

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