『カムカムエヴリバディ』遂に明かされる錠一郎の数十年 “ジョー”復活の日は来るのか?

『カムカム』遂に明かされる錠一郎の数十年

 錠一郎(オダギリジョー)が家族の前でトランペットを手に取るところで終わった『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第19週。第20週では遂に錠一郎がひなた(川栄李奈)と桃太郎(青木柚)に自身の過去について話し始めるようだ。

 夢破れ、ひなたの前から姿を消すことを決めた五十嵐(本郷奏多)に対して、一足早く錠一郎は自身のかつての夢について語っていた。

「僕もなぁ、夢があったんや、若い頃は。でも叶わんかった。一度は手が届いたように見えたけど、でもあかんかった」

 戦争孤児だった錠一郎は岡山のジャズ喫茶「Dippermouth Blues」のマスター・定一(世良公則)に育てられた。安子(上白石萌音)がロバート(村雨辰剛)に招待され生きる希望を取り戻した将校クラブのクリスマスパーティーで、同じくして錠一郎もジャズやトランペット、そして定一が高らかに歌う「On The Sunny Side Of The Street」に出会い、自身にとっての“ひなたの道”を見出したのだった。

 プロのジャズトランペッターになった錠一郎は大阪でるい(深津絵里)と出会い、彼女の名前の由来にもすぐに気が付いていた。稔(松村北斗)と安子(上白石萌音)の初デートとなった「Dippermouth Blues」で流れていたのが「On The Sunny Side Of The Street」であり、2人が娘の名前に込めた想いが錠一郎とるいをより強く、深く引き寄せたのだ。(さらには後にこの曲が、ひなたの名付けの由来にもなる)

 しかし、錠一郎は突然出口の見えない暗闇に突き落とされるのだ。関西一のトランペッターを決めるコンクールで見事優勝し、デビューに向けて東京の芸能事務所で準備を進める錠一郎だったが、突然トランペットが吹けなくなってしまう、何の前触れもなしに。自分にとっての“生きる道、ひなたの道”だったトランペットで誰かにとっての“生きる道、ひなたの道”を明るく照らし出し応援したり祝福できる、トランペットの音色を通して一緒に歩んでいける、そんな自分の番がようやく回って来たかと思ったのも束の間、彼自身の“生きる道、ひなたの道”がいきなり閉ざされてしまったのだ。そして、もちろんその“誰か”の最たるものが彼にとってはるいであり、るいと自分のひなたの道を正に歩み始めたばかりのことだった。

 自分とるいを繋ぎ合わせているトランペットが吹けなくなった今、るいに合わす顔がないと、婚約者である彼女を避け続け、拒み続ける錠一郎。しかし、るいはその手を離さなかった。結婚し、京都に移ってからは、錠一郎が少し前まで表舞台に立つ人でストイックに鍛錬を続けていた人だということがある意味嘘だったかのようにひたすら穏やかでマイペースな時間を過ごしてきた。

 しかし、その裏で実はかつてのライバル・トミー(早乙女太一)がレコードもCDも出しアメリカにまで行って、錠一郎が叶えられなかった夢を全て実現していたことが明かされた。さらに、全くトランペットやジャズの匂いが一切しない大月家だが、実は錠一郎はトミーの新譜が出る度にCDを買っているもののまだ一度も聴けていないということも。そういえば、「荒物屋あかにし」でCDラジカセを見つめる錠一郎に吉右衛門(堀部圭亮)が掛けた「だいたい大月さんがCDみたいなもん買うて聴く訳あれへんやろ」という言葉に何とも言えない表情を見せていた彼の姿が思い浮かぶ。

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