日台合作映画『ホテルアイリス』で鮮烈なデビュー 台湾の新人女優・陸夏(ルシア)に迫る

『ホテルアイリス』陸夏(ルシア)に迫る

 芥川賞作家・小川洋子の小説を『黒四角』の奥原浩志監督が映画化した『ホテルアイリス』は、寂れた海沿いのリゾート地に存在する小さな海沿いのホテルを舞台に、謎めいた中年男と心に闇を抱えた若い娘が出会い、いつしか愛と死の香りに満ちた濃密な時間の淵に堕ちていく模様を描いた幻想的な作品だ。日本映画のみならず多数の海外作品にも出演する永瀬正敏が謎めいた翻訳家を演じているほか、台湾からツァイ・ミンリャン監督作品で知られるリー・カンションや、永瀬が主演を務めた台湾映画『KANO ~1931海の向こうの甲子園~』の監督でもあるマー・ジーシアンらが参加し、国際的なキャストが集結した。そんな本作のヒロインとなるマリ役に抜擢されたのは、台湾の新人女優・陸夏(ルシア)。映画デビュー作にして大胆なシーンにも挑戦した彼女にリモートでインタビューを行い、『ホテルアイリス』出演の経緯や永瀬正敏との共演について話を聞いた。

露出度の高いシーンも「安心して撮影に臨むことができた」

ホテルアイリス

ーー本作がルシアさんにとっての映画デビュー作とのことですが、どのような経緯でこの作品に出演することになったのかを教えてください。

ルシア(陸夏/以下、ルシア):この作品のオーディションの情報はネットで見つけて知りました。公開募集をしていたのですが、その時点ですでに監督が奥原浩志さんであること、相手役が永瀬正敏さんであることなどが決まっていました。そういった情報から作品への信用度も高かったですし、募集要項に書かれていたマリ役に求めている女性の条件に、私自身当てはまるところがあると思ったので、応募してみることにしました。日本語については若干不安がありましたが、独学でずっと勉強していたこともありましたし、日本のカルチャーに対してもかなり興味を持っていたので、日本の作品に携われる機会があれば、これほど嬉しいことはないと思いました。

ーー“マリ役に求める女性の条件”というのは具体的にどういうものだったんですか?

ルシア:正直、詳細はあまり覚えていないんです(笑)。ただ、マリのイメージ写真が掲載されていて、そこにシンパシーを感じました。原作があるということも事前にわかっていて、露出の多い作品で過激なシーンがあることも最初の段階から理解していましたが、そういう細かいことは実際にオーディションに受かってからお話しするべきかなと思っていました。

ホテルアイリス

ーー実際にマリ役に決まったときの率直な感想を教えてください。

ルシア:最初に自分がマリ役に決まったという知らせを聞いたときは、興奮しましたし、とても嬉しかったです。あと、これまで頑張ってきた自分のことが、ある種、肯定された気持ちになりました。どの役者さんも多少なりともオーディションに落ちた経験があると思うのですが、挑戦したいとけど役を射止められなかったときは、やっぱり否定された気持ちにもなりますし、仕事がない状態に陥ると、自己懐疑的にもなると思うんです。でも、そういう中で仕事をいただけたということは、自分にとっていい励みになりました。

ーー露出度の高いシーンについては話し合いなどされたんですか?

ルシア:撮影に入る前に、露出度の高いシーンをどういう形で撮り進めるかというミーティングを行いました。どこをボーダーラインにするのかを明確にし、双方が納得する形で事前に話し合うことができたので、安心して撮影に臨むことができました。

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ーーオーディションに応募したときにすでに翻訳家役で出演が決まっていた永瀬正敏さんのことはご存知でしたか?

ルシア:永瀬さんのことはオーディションに参加する前から存じ上げていました。永瀬さんが主演を務めた『KANO ~1931海の向こうの甲子園~』は台湾でもメガヒットを記録していて、私も当時、劇場に観に行っていたんです。そういう背景もあり、永瀬さんが出演するということは間違いない作品なんだと確信していました。

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