『カムカムエヴリバディ』“推し活”に励むひなたが尊い! 謎の少年との運命的な出会いも

『カムカム』“推し活”に励むひなたの尊さ

 推しがいれば、基本なんだって頑張れる。そんな思いで地道に空瓶拾いをしてお金を稼いだひなた(新津ちせ)の気持ちが報われた『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第66話。1500円の桃山剣之介(尾上菊之助)サイン会チケット代は、以前縁日に遊びに行った時に錠一郎(オダギリジョー)から貰った200円が、るい(深津絵里)に「甘やかしている」と言われていたのを考えると、ひなたにとっても大月家にとっても大金である。

 しかも、12月になってから回転焼きの売り上げが「およげ!たいやきくん」のヒットによるたいやきブームで、急激に落ちてしまった。2人目の子供を迎えるのに、ひとつ60円の回転焼きだけでは1日の家計を支えることは難しい。それでも、るいが商売の手を広げる気になれないのは、「慎ましく暮らせればそれでいい、その時が一番幸せ」という考えが常に彼女の中にあったからだ。

 そんな彼女が思い返すのは、大阪時代に安子(上白石萌音)が自宅だけで「たちばな」の商いをしていた日々のこと。確かに、事業展開をしたことで配達をするようになり、配達をしはじめたせいで安子の疲労とるいの事故に繋がってしまった。全てが狂い出した原因でもあり、るいにとっては何重にも重なるトラウマなのだ。それでも彼女が、その手前の母と2人いつもずっと一緒にいた日々を「一番幸せ」と記憶していたことは嬉しい。

 さて、それでもるいが偉いのは、お年玉の金額を下げず、例年通り500円渡したことだ。そしてひなたが偉いのは、サイン会までにちゃんと自力で残りの1000円を稼いだことである。

 ほぼ演じる役と同い年の新津ちせが体現するひなたは、錠一郎やるいにとってだけではなく、もはや視聴者にとっても日向のような温かい存在だ。なにより、10歳の推し活っぷりは本当に見ているだけで元気が出てくる。思い返すと、ひなたが登場してからというもの、我々が見ているもののほとんどは日々の彼女の推し活だ。

 男子に笑われても、常にプラスチックの剣を携えて剣術に励み、推しの出演作は欠かさずチェックするし、何度も観る。学校の授業中でも推しが憑依してしまうし、ついには聖地巡礼(映画村)という新たなルーティンも追加された。羽根つきをしながらお年玉について話すシーンでは、一恵ちゃん(清水美怜)と小夜子ちゃん(竹野谷咲)が「おばあちゃんから貰った」と言うのを少ししょんぼりして聞く。彼女のおばあちゃんは安子なので、視聴者としても「ああ……」とうなだれてしまいそうになるが、なんとそこでふてくされたり嫉妬したりせず、あろうことか自分の推し活に誘う豪胆っぷりを発揮するひなた。彼女を見ていると、本当に推しがいるだけで日々のあれこれってこんなに頑張れるものだよな、と改めて実感させられるものだ。

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