『カムカム』ひなた編は錠一郎から“テーマ”を継ぐ? 世代を超えて描かれる親子像
ひなたは父・錠一郎に懐いている。しかし、それは決して彼が自分を甘やかす存在だからではなく、“側にいてほしい時にいてくれた”からだ。幼稚園でいじめられた時も、膝の上に乗せて時代劇を一緒に観てくれた(そしてそれを日課にする)。戦争という悲劇で、一瞬にして「親と一緒に過ごす」という、子供にとっては普遍的な幼少期を失った錠一郎。そんな彼だからこそ、たとえ何もできなくても、絶対に自分の子供には孤独を感じさせやしまいという気持ちを感じるのだ。それはるいも同じ。しかし彼女は一家の大黒柱として仕事もこなさなければならない。「錠一郎だけでは甘やかすから、自分が叱る立場にいないと」と思うけど、彼女自身だって母として正しい叱り方がわかるわけではない。それでも、やはり彼女もできる限り娘と一緒にいろんなことをして過ごそうとするし、そんな彼女に“正しさ”なんてないことを錠一郎が優しく説く。ひなた自身も、その名前の通り非常に明るく快活な子で、2人が歩んできた軌跡の結晶としての“日向の道”であり、これからの人生を照らす “太陽”でもあるのだ。
気が早いかもしれないが、両親からたくさんの愛情を受けて成長したひなたが、今度はどんな大人になるのか楽しみだ。彼女はどんな人と恋に落ちて、どんな母親になるのか。いや、別に恋をしなくても、母親になるという選択肢をとらなくてもいい。時代とともに変わっていく価値観も、ヒロインたちの変化を通して見守っていきたいから。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか
写真提供=NHK