Netflixの話題作でお馴染み? イ・ジヌク、クォン・ナラら俳優陣が魅力的な『不可殺』
終盤戦に向かって走り出したNetflix配信中の韓国ドラマ『不可殺 -永遠を生きる者-』。不可殺(以下、プルガサル)に呪われた者として生まれ、魂まで奪われて不老不死になった男が、600年もの間、復讐をするために一人の女を追い続けることから始まる。制作は『愛の不時着』や『ヴィンツェンツォ』など数々のヒット作を世に送り出しているスタジオドラゴン。制作会社を理由に視聴した人もいるのではないだろうか。
物語のキーワードとなるのは、「因縁」「転生」「業報」。一見、難解そうではあるが、登場人物に関してはシンプルだ。その分、演出や俳優陣の演技に引き込まれてしまうシーンが目立つ。そんなキャストたちをこれまでの話とともに振り返りたい。
プルガサルにされた男、タン・ファルを演じるのはイ・ジヌク。彼の作品で記憶に新しいのは、『Sweet Homeー俺と世界の絶望ー』(2020年)だ。顔に傷を負った謎の男ピョン・サンウク役の、口数が少なく、感情をあらわにしないミステリアスな雰囲気を持つ性格はファルにも共通する。イ・ジヌクはこれまで、『ロマンスが必要2』(2012年)、『君を愛した時間』(2015年)などのロマンス作品では、その甘いマスクで視聴者を魅了し、『ボイス2 〜112の奇跡〜』(2018年)、続くシーズン3では、“サイコパス”と呼ばれる刑事役で、緊迫感や冷徹さで凄みを加速させる演技を見せた。
本作では、復讐しかなかった人生に変化が訪れるなか、心を許した者の前だけで見せる目尻の下がった表情で、家族への愛、大切な人を想う気持ちをより一層感じられるように表現。その眼差しには、600年分の悲しみや切実さ、そして愛情のすべてが詰まっており、何度も感情を揺さぶられてしまうのだ。甘さと冷たさ、それが色気ともなるイ・ジヌクは、ギャップを見せることにより演技に深みが増しているのだろう。
そんなファルから魂を奪い、プルガサルから人間に転生したミン・サンウンを、クォン・ナラが演じる。クォン・ナラといえば、『梨泰院クラス』(2020年)の主人公パク・セロイの初恋相手オ・スア役で覚えている方も多いだろう。特に、高校時代のスアは、まるで女神が降臨してきたかのような衝撃を受けたが、人々に恐れられるプルガサルであっても彼女の美しさは変わらない。その美貌が、プルガサルの中でも神秘的な面を持つキャラクターの要素を高める。そして透明感のある白い肌とどの角度からも見てもはっきりした顔立ちは、それだけでもインパクトがある。
彼女は2012年にアイドルグループ「HELLOVENUS」のメンバーとしてデビュー(現在は解散)、そして2016年から女優活動をスタートさせた。ドラマ『ドクタープリズナー』(2019年)では精神科医を演じ、KBS演技大賞新人女優賞を受賞、着々とキャリアを積み上げている。
もう一人のプルガサルとして登場してから、主人公の座を奪う勢いのキャラクターがオク・ウルテ。ファルやサンウンと違って、人間を殺して人間の血を吸って生きたプルガサルは、敵対する相手に等しい。ウルテは、息継ぎをしない話し方で威圧してきたかと思えば、突然の笑顔で不気味さが漂う。また、髪型や服装によってコロコロと印象が変わる演出により、彼の背景が掴めない。何より、彼が訴えるの目からは哀しみがつきまとい、いつの間にか同情心さえ抱いてしまうのだ。
そんな怪演ぶりを披露しているのは俳優イ・ジュンである。昨年Netflixで配信された『静かなる海』でも、エリートエンジニア役を熱演していた。彼もまたアイドルグループ「MBLAQ」で活動した後、本格的に俳優に転向した経歴を持つ。毎話、イ・ジュンの驚かされる演技が、最後までどのような進化を遂げるのか楽しみである。