宮沢りえの一挙手一投足に魅せられる『決戦は日曜日』 『真犯人フラグ』での今後にも期待

宮沢りえの一挙手一投足に魅せられる

 宮沢演じる有美が、政界に無知ながらも二世候補として参入する存在だというのは冒頭で述べたとおり。ときと場合によって無知であることは罪深いものだが、選挙戦を熟知した事なかれ主義でやる気の希薄な秘書たちと比べると、その熱意だけはかなりのもの。しかしやはり無知で世間知らずなことが災いして、これがすべて“空回り”に転じていく。この空回りっぷりに、宮沢のテクニカルなパフォーマンスが見られるのだ。

 鮮やかな身振り手振りはまさに選挙戦に挑む者たちのそれであり、その大げさ具合には、有美が政界に不適切な人物であることが表れているだろう。そして何よりも注意すべきは宮沢の発話法(セリフ回し)。大・小・高・低と的確に操られた彼女の声は、周囲の者たちといかに会話が噛み合っていないかを示していると思う。これがあまりに大胆ながらもシーンとして成立しているのは、受け手である窪田らの力に依る部分も当然あるに違いないが、やはり前提として、宮沢のコントロール力の高さがあってこそのものだろう。有美を上手いこと適当にあしらう秘書たちに対して彼女が屋上で抗議演説するシーンなどは、思わず落涙してしまうほどの素晴らしさだ。このシーンだけ切り取った予告映像が公式より公開されているため(YouTubeにて)、これだけでも目にすれば、劇場まで走らずにはいられないだろう。

2022.1.7 (金)公開『決戦は日曜日』本編映像|宮沢りえ、マジギレ!?魂のこもった抗議演説シーン解禁

 さて、そんな宮沢が最も話題なのは、やはり地上波ドラマ『真犯人フラグ』での演技なのではないだろうか。何せ物語の冒頭で失踪し、それからというもの、西島秀俊演じる主人公の回想シーンでしか登場していない。本作で回想される彼女の姿も、宮沢の高度なパフォーマンスによって絵に描いたような“良妻賢母像”を生み出しており、視聴者を翻弄しているところだ。“今後”の本格的な再登場に期待である。もしも姿を見せるのならば間違いなく、私たちを「アッ」と言わせるパフォーマンスを展開するはずだ。

『真犯人フラグ 真相編』(c)日本テレビ

■公開情報
『決戦は日曜日』
全国公開中
脚本・監督:坂下雄一郎
出演:窪田正孝、宮沢りえ、赤楚衛二、内田慈、小市慢太郎、音尾琢真ほか
制作:パイプライン
配給:クロックワークス
製作:「決戦は日曜日」製作委員会
(c)2021「決戦は日曜日」製作委員会
公式サイト:https://kessen-movie.com

■放送情報
『真犯人フラグ 真相編』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~23:25放送
企画・原案:秋元康
出演:西島秀俊、佐野勇斗、芳根京子、 桜井ユキ、生駒里奈、柄本時生、柿澤勇人、長田成哉、坂東龍汰、吉田健悟、小林きな子、森田甘路、竹森千人、BOB、青木瞭、中西美帆、渥美友里恵、町田愛、南彩加、遼太郎、原菜乃華、堀野内智、小林優仁、渋川清彦、深水元基、迫田孝也、丘みつ子、浜田晃、小松利昌、戸田昌宏、正名僕蔵、平田敦子、田中哲司、宮沢りえ
脚本:高野水登
音楽:林ゆうき、橘麻美
演出:佐久間紀佳
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:鈴間広枝 松山雅則
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/shinhannin-flag/
公式Twitter:@shinfla_ntv
公式Instagram:@shinhanninflag_ntv

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる