『ムチャブリ!』高畑充希演じる雛子がやけにリアル 職場の誰かを重ねずにはいられない

『ムチャブリ!』高畑充希のリアルな30歳

 正論と事実をデータで示し「そんな考えだから店が潰れるんですよ!」と真っ向勝負しかできない大牙の言動は、ある意味若さゆえ、まだまだチャレンジも失敗も許される年齢ゆえに言える強気な言葉として古賀には聞こえてしまったかもしれない。

 “今さら”だと現状を見て見ぬ振りし、自ら「変わるチャンス」を手放し続けてしまったことへの後悔、自分でハードルを高くしてしまったがゆえにそれを今さら認めることへの怖さ、“ここで認めたら負け”というような妙な敗北感と隣り合わせの歪なプライドを共有し合えるのが古賀にとっては雛子だったのだろう。

 なかなか現実には起こり得ない本作の突拍子もない話の展開とは裏腹に、なぜか雛子の存在はどこか近くに感じられる。それはやはり高畑演じる雛子の“本音と建前”の使い分け、“オンとオフのギャップ”などがやけにリアルで、観る者が思わず職場の誰かや仕事上でのワンシーンと重ね合わせてしまうところがあるからではないだろうか。

 「役が人を作る」「役が人を育てる」という言葉があるが、与えられた役回りによって人はその役職にふさわしい立ち振る舞いをするようになり、結果役職に見合った人材に育つという考え方だ。その一端が早くも第1話の雛子の姿から垣間見えたようにも思える。いくら直感型の浅海とはいえ、切れ者でやり手社長の彼のことに、雛子を今回のポストに大抜擢したのには何か思惑があるのだろう。

 浅海の新メニュー試食会もクリアし、シェフの古賀と雛子たちの間に連帯感も芽生えたようだが、無事リニューアルオープンを迎えられるのか。浅海が最初に描いた計画通りに事は進むのか。このドタバタ劇の続きが気になる。

■放送情報
『ムチャブリ! わたしが社⻑になるなんて』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜23:00放送中
出演:高畑充希、志尊淳、松田翔太、夏帆、笠松将、山田真歩、忍成修吾、片山友希、坂本慶介、松岡広大、坪倉由幸(我が家)、神保悟志、荒川良々
脚本:渡邉真子
演出:猪股隆一、狩山俊輔
音楽:河野伸
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:鈴木亜希乃、柳内久仁子(AX-ON)
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/muchaburi/
公式Twitter:@muchaburi_ntv

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