ベネディクト・カンバーバッチの土台は“天才役”? 体現するドクター・ストレンジの変化
MCUで演じるドクター・ストレンジの変化
先述のとおり、これまでカンバーバッチは多くの“天才役”を演じてきた。先に挙げたホーキングやシャーロック、チューリングのほかにも、ゴッホやエジソン、ジュリアン・アサンジやブレグジットを推し進めたドミニク・カミングスなど、社会的には少々難ありの人物たちだ。そのなかでも幅広い世代によく知られているのは、2016年からMCUで演じている元天才外科医にして至高の魔術師、ドクター・ストレンジだろう。ほかの何人かの“天才”と同じく、ストレンジも初登場時には自分の頭脳と才能を鼻にかけた、いけ好かない人物だった。しかし彼は交通事故で両手の機能を失い、医師をつづけられなくなる。藁にもすがる思いでたどり着いたカトマンズのカーマ・タージで、彼は魔術を極めることを決意。のちにはアベンジャーズとともに地球を救う戦いにも参加する。
ドクター・ストレンジは、これまでカメオ出演を含めて5つのMCU作品に登場してきた。そして、それぞれの作品で彼は違った側面を見せる。単独映画1作目の『ドクター・ストレンジ』で驚かされるのは、彼の粘り強さだ。“しつこさ”と言ってもいい。スティーヴン・ストレンジが天才外科医と呼ばれるまでになった理由であり、魔術を習得する際のカギにもなったのは、その諦めない態度だったことがわかる。そして彼は持ち前の“しつこさ”でドルマムゥを撃退した。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で、彼はチームプレイを学ぶ。そして人類が唯一助かる方法を見つけ出し、仲間を信じて自分を犠牲にした。そして『アベンジャーズ/エンドゲーム』で復活すると、似た者同士でいがみ合っていたトニー・スタークに人類の未来を託す。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、当初は自分を頼ってやって来たものの、最終的にはヒーローとしての覚悟を決めるピーター・パーカーに対して、親心のようなものを持ちはじめる。若く未熟ではあるが、他人を思いやるピーターに感化され、ストレンジも変わっていくのだ。同じMCUのなかでも、共闘するヒーローによって人間的な変化が見られるのが面白い。それはカンバーバッチが、キャラクターの微妙な変化やセリフ以外の演技に長けた俳優だからというのもあるだろう。
2022年5月には単独映画2作目『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の公開が控えている。この作品では、『ノー・ウェイ・ホーム』のカギとなった「マルチバース」について、さらに掘り下げられるようだ。ワンダ・マキシモフや新キャラクターのアメリカ・チャベスも登場する同作は、今後のMCUに与える影響も含めて期待が高まっている。いまのところ詳しいあらすじなどは不明だが、キャラクターとしてより深みを増したドクター・ストレンジがどんな活躍をするのか、カンバーバッチがどんな演技を見せてくれるのか楽しみだ。
■公開情報
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
全国公開中
監督:ジョン・ワッツ
脚本:クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
製作:ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル
出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイ、アルフレッド・モリーナ、ウィレム・デフォー、ジェイミー・フォックス
配給:ソニー・ピクチャーズ
原題:Spider-Man: No Way Home
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