大塚明夫、新たな次元大介としての覚悟 「清志さんがくれた設計図を大切に」
自分の色は出そうとしていない
――現在放送中の『PART6』のスタジオの雰囲気はどうでしょう? 沢城みゆきさんや山寺宏一さんたちとの掛け合いなど、現場のことを少し教えていただけますか。
大塚:コロナの影響で単独で収録することが多くなったために、今はみんなでワイワイと1本のマイクの中に入って行く録り方ができなくなったんです。だけど例えば、たった今、他の人が録ったばかりの台詞をスタジオで聴いたりすると、やっぱりみんな上手いなと思います。別々に録っていても「これ一緒のスタジオで録ったんじゃないの?」と思えるほど上手くできている。それを聴くと逆に一緒に録りたいなと思っちゃうのですが、もう同じスタジオでみんなが一緒に録るという形の神話が崩れつつあるのかな、とも感じるんです。でもルパンの現場の手応えはすごく良いです。子役出身の浪川大輔くんはランドセル背負って学校の帰りにスタジオに来ていた頃から知っています。沢城くんは元は僕と同じ事務所にいましたが、出会った頃はまだ高校生でした。だから浪川くんも沢城くんも、ずっと昔からの顔なじみですし、山ちゃん(※山寺宏一)は『攻殻機動隊』で、もう20年以上も組んでいるから芝居の感じがよく分る。栗田さんだけが過去にルパンのテレビスペシャル何作かだけでしかご一緒していなかったんです。だけど『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』(1995年)で栗田さんが、目が点になりながら必死に初めてのルパンを演じていた時、スタジオの横で「頑張れ!!」って心の中で大声援を送りながら見ていたんです。だからみんなのことが他人に思えなくて。みんなも僕のことをそう考えてくれていたら嬉しいな、なんて勝手に思っています。
――大塚さんは、栗田さんがルパン役を引き継いだ最初の映画『くたばれ!ノストラダムス』に敵役で出演されて、今度は小林さんからの引継ぎで次元役を演じることになるとは、不思議な縁を感じます。
大塚:そうですね。栗田さんも山ちゃんも、僕と年が近くて。それぞれ別の所で子ども時代を過ごしたわけですが、将来同じ仕事で一緒になるという運命だったのかな? だとしたら、そういう縁の繋がりを大事にしたいなとすごく思います。
――では最後に、『PART6』の次元役を演じてきて、どれぐらい大塚さんの色あいを出せたかという点を伺いたいのですが……。
大塚:僕は自分の色は出そうとしていないんです。どっちみち清志さんの次元と同じものにはなれないというのは自明の理なので、一生懸命似せて行こう、芝居をトレースして行こう、清志さんが作ってきた次元のイメージ、次元の空気感の中に自分をはめ込んでいこうというアプローチで臨んでいるんです。それでもどうしても足りなかったり、はみ出したりする部分は出てくる。そういう部分を大塚明夫だと思ってもらおう、と演じています。「次元はJAZZで江戸っ子だぞ」という清志さんの言葉は、お釈迦様から頂いたような有難さがありました。清志さんがくれた設計図を大切に大切に演じて行けば、はみ出した部分もいつか次元に見えてくるんじゃないかなと。そんなつもりで次元大介と歩いて行こうと思っているんです。
■放送情報
『ルパン三世 PART6』2クール
日本テレビ系にて、毎週土曜24:55〜放送
Huluほかにて配信中
声の出演:栗⽥貫⼀、⼤塚明夫、浪川⼤輔、沢城みゆき、⼭寺宏⼀ ほか
監督:菅沼栄治
シリーズ構成:村越繁
キャラクターデザイン:丸藤広貴
音楽:大野雄二
メインテーマ:「THEME FROM LUPIN III 2021」作曲:大野雄二、編曲:大野雄二、演奏:Yuji Ohno & Lupintic Six with Friends
エンディングテーマ:「BITTER RAIN」藤原さくら、作詞:BOUNCEBACK、作曲:大野雄二、編曲:大野雄二、演奏:Yuji Ohno & Lupintic Six with Friends
制作:トムス・エンタテインメント
製作:ルパン三世PART6製作委員会
原作:モンキー・パンチ
(c)TMS・NTV
公式サイト:https://lupin-pt6.com/
公式Twitter:@lupin_anime