『その年、私たちは』交差する過去と現在 チェ・ウシク×キム・ダミの演技が活きる作品に

『その年、私たちは』交差する過去と現在

 過去と現在が重なり、映画のワンシーンのように切り抜かれた場面に今もなお浸っていたくなる、Netflixで配信中の韓国ドラマ『その年、私たちは』。やっと気持ちを確かめ合うかと思った矢先、ドキュメンタリーの撮影から逃げてしまったチェ・ウン(チェ・ウシク)とクク・ヨンス(キム・ダミ)。二人はやっぱり似たもの同士のように感じる。似ているというよりは、長い時間を一緒に過ごしたから似てしまったのだろう。行き着く果てが同じだったのは、10年前にも一緒に逃げたあの日の思い出が、二人を引き合わせたのかもしれない。

 距離が縮まったかと思えば気まずくなる状態を繰り返し、もどかしく感じるはずが、妙にこの状況に納得してしまうのは、ところどころでキャラクターたちの心の声を聞かせてくれる演出ならではである。さらに、10代と20代を行き来するシーンが多い中、高校生の純粋さや大人になってからの不器用さなど、成長の過程を違和感なく繋げているチェ・ウシクとキム・ダミの表現力と抜群の相性の良さも本作に見入ってしまう理由のひとつだろう。

 別れてからどう過ごしていたのか気になっていたウンに「元気に過ごしてた」と答えて逃げてしまったヨンス。涙を流したことも飲み過ぎたからという理由で片付けてしまった。「大丈夫」「何でもない」の言葉は、時に残酷だ。そう言われてしまったら、何も言い返すこともこれ以上何かをしてあげることもできない。いきなり、自分との間に線を引かれてしまったように悲しい気持ちになる。これがウンの言う「どんどん遠くに行ってしまうように感じる」の意味だろう。

 だからといってヨンスのことを一方的に責めることはできない。余裕がなかったり心配をかけたくなかったりすると、強がってつい「大丈夫」の一言で跳ね返してしまうことを私たちも十分に理解できるからだ。大切な人の前ほど口にしてしまう時もあるし、大切な人から言われるからこそ傷つく言葉でもある。二人が再会してからウンの言葉はトゲがあるように聞こえるが、その度に胸を突かれるヨンスは、自分のことを振り返るきっかけにもなっている。これは恋愛だけではなく、生活をするためだけに生きてきたヨンスの人生を見つめ直すチャンスでもある。ウンと別れる選択肢しかなかったあの頃と違って、今はどうしたいのかを自分で決められるのだから。



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