『明日ちゃんのセーラー服』『ハコヅメ』『東京24区』など、期待の2022年冬アニメ
1年間、3カ月ごとにたくさんのテレビアニメが放送され、また次の3カ月にほとんどが入れ替わって行く。毎シーズンごとに30作から40作近くのアニメが放送されるため、全作を視聴するのはほぼ不可能だろう。そこで、制作スタジオや参加スタッフ、原作のポテンシャルの高さといった視点から、2022年1月スタートの冬アニメの注目作品をいくつかご紹介したいと思う。
『明日ちゃんのセーラー服』『その着せ替え人形は恋をする』
まず漫画原作ものの注目作では、『明日ちゃんのセーラー服』(黒木美幸監督)と、『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』(篠原啓輔監督)の2作。『明日ちゃんのセーラー服』は、テレビアニメ化されたライトノベル『スーパーカブ』でイラストを担当している漫画家の博が、WEBコミックサイト『となりのヤングジャンプ』(集英社)で連載中の漫画が原作。田舎の名門女子校のセーラー服に強い憧れを抱いていた少女・明日(あけび)小路と、その友人らの青春を描いている。
『その着せ替え人形は恋をする』は、雛人形の顔を作る “頭師(かしらし)“を目指して修行中の男子高校生・五条新菜と、美人でクラスの人気者・喜多川海夢が、2人だけの秘密を共有することで始まるラブストーリーで、福田晋一が『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)で連載集の漫画が原作。両作品を制作するCloverWorksはこれまでにも漫画原作のテレビアニメ『約束のネバーランド』、『ホリミヤ』、『シャドーハウス』などを手掛けており、いわゆる作画マニアを唸らせるような高品質のアニメーションで定評のあるアニメスタジオ。『明日ちゃん~』の黒木監督は、CloverWorks制作の『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア- 』の副監督や、劇場用アニメ『空の青さを知る人よ』の演出を担当しており、その手腕に期待が持てる。
『佐々木と宮野』『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』
他に漫画原作ものでは、春園ショウ原作のボーイズラブ漫画をライトタッチでアニメ化する『佐々木と宮野』(石平信司監督)と、泰三子原作の警察官アニメ『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』(佐藤雄三監督)もチェックしておきたい。『佐々木と宮野』のキャラクターデザインを担当する藤井まきは、これまでにも劇場用アニメ『ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~』のキャラクターデザイン、『アイドリッシュセブン』の衣装設定と、女性ファンに人気の高いアニメに多く参加していて、今回も原作の味をそこなわない巧みなデザインのキャラクターが好感触。『ハコヅメ』は、『千年女優』を始めとする今敏監督の映画や、『時をかける少女』、『サマーウォーズ』など細田守監督の映画を作り続けてきた実力派のマッドハウスが制作するだけに、既に実写ドラマ化された原作をどんなアプローチでアニメ化してくれるのかが楽しみだ。
『カッコウの許嫁』
さらにもう1本、今後の放送が期待される一作として吉河美希原作のラブコメ『カッコウの許嫁』(白幡良志之監督)もチェックしておきたい。原作漫画は連載開始間もない頃から高い読者人気を得ており、アニメ化の期待が寄せられていた注目作。同作が連載中の『週刊少年マガジン』(講談社)からはここ数年、『五等分の花嫁』や『彼女、お借りします』などラブコメ原作のヒットアニメが次々と生まれているので、これらに続く話題作になり得るか見届けたいところ。ちなみに吉河美希が過去に『週刊少年マガジン』で発表した『山田くんと7人の魔女』も、2015年にアニメ化を果たしている。