『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』海外での評価をおさらい 物語がさらに進化?

『スパイダーマンNWH』海外評価をおさらい

 ストーリーに触れるのは控えるが、出演者らの感想を紹介しよう。公式予告で登場が明らかになっているヴィランは、サム・ライミ監督版『スパイダーマン』(2002年)からウィレム・デフォー演じるグリーン・ゴブリン、『スパイダーマン2』(2004年)からアルフレッド・モリーナ演じるドクター・オクトパス、マーク・ウェブ監督版『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)からジェイミー・フォックス演じるエレクトロ。

 2021年12月5日にブラジルで行われたCCXP in Comic-Conでのインタビューには、メインヴィラン役を演じる上記の3名の俳優らが登場。デフォーは「初めて再演の話を聞いたときバカげていると思ったが、スクリプトを読むと面白く良い解決法が示されている。過去と同じ役を演じるが、異なるものでひねりがある」とストーリーの魅力を話した。17年ぶりにドクター・オクトパスに扮したモリーナによると、当時のオクトパスのアームは機械でパペット師が操っていたが、今はすべてCGだそうで、撮影環境も大きく異なった。過去作との比較も楽しめるのではないだろうか。ヴィランたちとピーターがどのように関わるのか、彼らの新しい一面を見ることができるのか気になるところだ。

 なおスパイダーマンを目の敵にするデイリー・ビューグルのジャーナリストのJ・ジョナ・ジェイムソンはライミ版『スパイダーマン』と同じくJ・K・シモンズが演じている。過去作では紙媒体の編集長だったが、今回はWeb媒体でフェイクニュースを流す人物となり、時代を反映している。

 続いて2つ目のポイントは、「ピーターの内面の成長」だ。若くあどけなさが残るトム・ホランド演じるピーターは、MCUの中でトニー・スタークなどから指導・保護される立場で、トビー・マグワイアやアンドリュー・ガーフィールドが演じたスパイダーマンと比べると未熟な印象が強かった。しかし今作は、Guardianによると「ワッツの前2作と比べ、爽快なティーン映画という雰囲気は失われた」とのことで、シリアスなトーンが濃くなりそうだ。New York Postは、「ピーターは、重々しさやエモーショナルな活力、残酷さ、信頼、苦悩する経験を得る」と表し、大人になるための試練を受けることがうかがえる。

 前2作は「ピーターは周りの有力なコネにかなり頼っていた」(BBC)が、今回はオリジナルコミックや過去の映画で貫かれた「大いなる力には大いなる責任が伴う」テーマの存在が示されており、ストーリーに深みが増すことが期待される。

 関連して、今作のミッドポイントに至るまでの主人公らの言動について「粗っぽい」「もっと省略してほしかった」と指摘する者は多い。前半のピーターの行動に対して意見は分かれるが、Varietyは彼の決断を肯定する。「登場人物を3次元的に、言うなれば現実的なキャラクターにしようとしているのではないか。21世紀のボンドの『007/カジノ・ロワイヤル』、ノーランの『ダークナイト』で世界を救うにあたり身体的苦悩を受けるように」と考察した。ピーターの人間的成長の過程を見届けられる日が待ち遠しい。

 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』はMCU版『スパイダーマン』シリーズ3部作の完結編とされるが、やはり続編が気にかかるところ。12月17日付のThe New York Timesによると、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、スパイダーマンはどこかで登場すると発言しており、今後のシリーズにも期待だ。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は2022年1月7日に劇場公開。トム・ホランド演じるスパイダーマンの行く末を確認しよう。

参考記事

Five stars for Spider-Man: No Way Home
Spider-Man: No Way Home review – scattered fun in ambitious sequel
https://www.youtube.com/watch?v=oKzWmAehB0c
https://www.youtube.com/watch?v=LdQ7QNGIuSk&feature=youtu.be
‘Spider-Man: No Way Home’ is a big, fat Christmas present for fans
‘Spider-Man: No Way Home’ Review: Tom Holland Cleans Out the Cobwebs of Sprawling Franchise With Multiverse Super-Battle
‘Spider-Man: No Way Home’ Review: Hero Wrestles with Place in Universe in Emotional, Unsteady Sequel

■公開情報
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
1月7日(金)全国ロードショー
監督:ジョン・ワッツ
脚本:クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
製作:ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル
出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイ、アルフレッド・モリーナ、ウィレム・デフォー、ジェイミー・フォックス
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
原題:Spider-Man: No Way Home
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