香取慎吾「とんでもない現場ですよ!(笑)」 17年ぶりのNHKドラマ主演で受けた衝撃
香取慎吾主演のNHK特集ドラマ『倫敦(ロンドン)ノ山本五十六』が、12月30日に放送される。本作で香取は、国民から「英雄」と呼ばれるようになる以前の、海軍という組織の中でもがき続けた、新たな「山本五十六像」に挑む。
太平洋戦争開戦前の昭和9年(1934年)、のちに真珠湾攻撃の作戦を指揮することになる提督・山本五十六がロンドンに降り立った。国家の命運を背負い、アメリカをはじめとする列強との軍縮交渉に臨もうとしていた。「交渉が決裂すれば、日本は国際社会でさらに孤立する」。アメリカの絶大な国力を知り、戦争は避けるべきだと考える山本は、ぎりぎりまで決裂回避への道を探り続けるのだが……。
大河ドラマ『新選組!』以来17年ぶりにNHKドラマへ出演する香取に、現場で感じたことや、本作で描かれる新たな山本五十六像について聞いた。
山本五十六役は今までではできなかった挑戦
ーー17年ぶりとなるNHKドラマへの出演ですが、撮影はいかがでしたか?
香取慎吾(以下、香取):久しぶりに出演させてもらって、NHKスタッフの皆さんのプロフェッショナルぶりにびっくりしました。衣装やセット、ロケでお借りしている場所、すべてが他では経験できないような規模で、足を踏みいれるだけで、場所や人が自然と役に連れて行ってくれるような現場でした。
ーーどんなところにプロフェッショナルを感じたのでしょうか?
香取:まず、衣装合わせですね。僕は洋服が好きなので、服のディテールまで観察していたんですけど、カメラに映らないようなところまで、当時の衣裳が忠実に再現されているのがすごいなと思いました。僕は17年ぶりなのでそういう驚きがあるんですけど、スタッフの皆さんはずっとNHKにいるから自覚がないんです。とんでもない現場ですよ!(笑)
ーー山本五十六という役を演じることには、どんな印象を持たれましたか?
香取:いろいろな俳優の先輩方が演じられた作品を観てきたので、自分がこの役をやらせてもらう時が来たのか、という大きなプレッシャーを感じました。
ーー撮影にあたって頭を丸刈りにされていましたが、そういった役作りに抵抗はありませんでしたか?
香取:全くなかったです。全くなかったし、これは偶然なんですけど、今までだったら丸刈りにするようなことも、レギュラー番組を何本も抱えている影響でできなかったんです。だから、本作のような一つの役に入り込むようなお芝居をしたいなと思っていました。そんなときにオファーをいただけたので、「ぜひやらせてください」と即答しました。
ーーこのドラマでは、山本五十六のどんな側面が描かれているのでしょう?
香取:僕が演じた山本五十六は、すごくまっすぐで芯がぶれない人。時代が肩にのしかかっている分、子供と接している時でさえどこか背筋を正しているような、そんな印象でした。
ーー演じられた役と香取さんに共通点は?
香取:会議の中で、戦略を組み立てて話している部分が結構あって。山本五十六は英語も喋れるんですけど、会議では基本的に通訳の人を介しているんです。それは通訳をしている間に、相手の顔色を見る時間が作れるから。そういう物事を進めるときに一歩、二歩先まで考えて組み立てていく面は、表では見せていない“慎吾ちゃん”なんですけど、実はリンクしている部分だと思います(笑)。
ーー香取さんの役のここを観てほしい、というポイントは?
香取:言葉を発していない、表情だけの芝居をぜひ観てほしいですね。相手が心から頷いてくれるまで思いを伝え続けて、思いの強さで人を動かすようなシーンが多かった気がします。
ーーそういった人物を演じられる中で、香取さんの中に変化はありましたか。
香取:人を思うことは、僕自身も大事にしてきたんですけど、自分の思いや信じる道をしっかり持っているというのは、改めて大事なことだなと。自分の中のそういうところが間違っていなかったんだなと再認識できました。