原作者・久住昌之が振り返る『孤独のグルメ』シリーズ 『ふらっとQUSUMI』誕生秘話も
カネがないから自分で音楽を作った
ーーそもそも、最初にドラマ化の話が来た時は、どんな感じでした?
久住:マンガを描いてると、やっぱり、ドラマ化の話が来るんですよね、時々。でも、だいたい実現しないので、いつも話半分に聞いていて。『孤独のグルメ』の時も、最初はそうだったんですけど、プロデューサーが熱心で。ものすごくやりたくて、3年ぐらい、上層部に文庫版を買っては企画書と一緒に渡して、っていうことを繰り返していたそうで。「あ、本気なんだな」と。
ーー時間がかかったんですね。
久住:でも、決まってからはすぐで。いや、すぐなんてもんじゃない、10月頃に決まって……1月から放送するのに、12月に入ってから、テーマ曲とか作ってましたね。もうギリギリもギリギリ。って、今も僕ら、大晦日の放送の音楽、まだ録ってないけどね。
ーーはははは!(※この取材日は11月30日)
久住:まさに今、曲のデモを作って、メンバーに渡したりしているところで。
ーー音楽も手掛けられているのは、始まった頃は全然制作費がなかったからだそうで。
久住:なかったですね。「音楽はどうするの?」ってきいたら、テレ東の人が「俺のジャズ研の後輩に、パソコンで作らせるから」って言うから、「いやいや、ちょっと待ってよ!」と(笑)。「だったら俺、作るよ」って言ったら、「いや、カネないから」って。それで、スタジオも自分たちで、安いとこを見つけて、あとは自宅録音で。『Season1』と『2』でミキシングをやった人が、西荻のライブハウスで働いてたから、そこで録らしてもらったの。録音機材とか持ち込んで。
ーー自主制作映画みたいですね。
久住:本当にそう。だって僕、憶えてるのが、「今日から始まるな」って思って新聞の番組欄を見たら、テレビ東京のいちばん下のところに『孤独』って書いてあって(笑)。で、『1』をやっている途中に、『孤独の』まで入りました(笑)。『3』ぐらいからじゃないですかね、全部入るようになったのは。