『アバランチ』ついに羽生と大山が直接対決 斬新な映像体験の裏にドラマのセオリー

『アバランチ』映像体験とドラマのセオリー

 「チェックメイトだ。山守くん」。『アバランチ』(カンテレ・フジテレビ系)第8話で、羽生(綾野剛)たちは大山(渡部篤郎)が仕掛けた偽装テロを阻止するため、敵の真っただ中に飛び込む。

 郷原総理(利重剛)出席のイベント会場で爆弾テロを起こし、日本版CIA設立に世論を誘導したい大山は、この機会を利用してアバランチを一網打尽にしようとしていた。爆発予告時刻の14時が迫る中、現場で指令を送る山守(木村佳乃)の前に大山が現れる。内調の元部下との会話で、大山はアバランチの正体に言及する。

 「君たちの狙いは私だろ?」。大山はアバランチのメンバーをすでに割り出していた。投降を進める大山は山守に取引を持ちかける。「メンバーの身柄を全てこちらに渡すんだ。そうすれば全てなかったことにしよう」。大山は一般市民の命を天秤にかけて譲歩を迫る。「アバランチは正義を気取っているつもりかもしれんが、その正義で救われる人間なんてごくごく少数」。「君たちがやっていることは、暴力による監禁・強要・脅迫だ。アバランチは正義を騙るただのテロリストだよ」。物腰は穏やかだが実質は恫喝。山守は申し出を拒むが、拘束された牧原(千葉雄大)の映像を見せられて動揺する。

 投降するか、それとも全滅を選ぶか。山守の迷いを断ち切ったのは、羽生の大胆な行動だった。大山の眼前に現れると「あなたがやってきたことに対して正当な罪を償わせてやる」と宣言。羽生が屈しない人間であると悟った大山は、今度は「仲間にならないか」と餌をちらつかせる。「日本の未来のために手を組もうじゃないか」と真剣そのものの大山に、羽生とメンバーたちが返したのは失笑。それは作戦開始の合図でもあった。

 打本(田中要次)のアイデアで一般市民を退避させ、拘束されていた牧原を救出したが、まだ爆弾が残っていた。ここから元爆弾処理班・打本による決死のミッション遂行があり、素性を明かした内調・桐島(山中崇)による逃走援助が続く。そして、第5話ラストで明かされた羽生の全国指名手配につながるわけだが、第2部冒頭からの一連のエピソードは、一瞬一瞬をスローモーションのように切り取りながら、息つく間もないスピード感で、凝縮された見応えのある展開となっていた。

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