『アバランチ』ついに羽生と大山が直接対決 斬新な映像体験の裏にドラマのセオリー

『アバランチ』映像体験とドラマのセオリー

 本作がサスペンスや連続ドラマの慣例を打ち破っていることは、時系列が錯綜する進行や映像美、アクションからも明らかだが、過去にない映像体験の裏には、テレビドラマとの協調、あるいは歩み寄りの工夫があると思われる。映画と違い、テレビの連続ドラマは、ながら見を許容することやセリフ・ナレーションの比重が高いこと、幅広い層に受け入れられる間口の広さなどの特徴がある。本作も時系列は複雑だがストーリー自体はシンプルで、説明が必要な場面でメンバー同士の会話が入るなど耳なじみは良い。

 また、時折挿入される笑いがシリアスなトーンに貫かれた本作の緩衝材になっている。メンバーが欠けてしまう第8話でも亡くなる当の本人をいじるシーンがあった。しかも、ただほっこりするだけでなく、キャラクターの人物像を理解し、楽しい時間が後の悲劇につながるアンチテーゼになるなど、ストーリー展開を踏まえた効果的な場面となっていた。さらに社会変革というとっつきにくいテーマに対しては、週刊誌記者の遠山(田島亮)の視点を通じて視聴者をガイド。このように工夫することで、視聴者の関心を維持し、取り残される人を最小にとどめている。もちろん良質なストーリーと演出、熱量の高い俳優陣の演技が根幹であることは言うまでもない。

 第8話では、ラスボスと噂されていた藤田(駿河太郎)が生きていたことも判明。善悪の彼岸を超えて、本作がどこまで到達するか、最終話まで凝視したい。

■放送情報
『アバランチ』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00~22:54放送
出演:綾野剛、福士蒼汰、千葉雄大、高橋メアリージュン、田中要次、利重剛、堀田茜、渡部篤郎(特別出演)、木村佳乃ほか
監督:藤井道人、三宅喜重(カンテレ)、山口健人
音楽:堤裕介
主題歌:UVERworld(ソニー・ミュージックレーベルズ)
プロデュース:安藤和久(カンテレ)、岡光寛子(カンテレ)、笠置高弘(トライストーン・ピクチャーズ)、濵弘大(トライストーン・ピクチャーズ)
制作:カンテレ、トライストーン・ピクチャーズ
(c)カンテレ
公式Twitter:@avalanche_ktv
公式Instagram:@avalanche_ktv

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