『カムカムエヴリバディ』第8話は異例の構成 完璧だった「アルデバラン」のタイミング
また、第8話は主題歌「アルデバラン」が流れ始めるのが12分過ぎという、朝ドラとしては異例の構成でもあった。朝ドラには、最終回演出としてエピソードのラストに主題歌が流れ始める回が作品ごとに数回ある。例えば『おちょやん』では千代(杉咲花)と一平(成田凌)がようやく結ばれた回、『おかえりモネ』では百音(清原果耶)が登米から東京に上京する回と物語の節目にそのタイミングはやってくるが、言わずもがな『カムカムエヴリバディ』はまだそこまでのクライマックスには達していない。
だが、「アルデバラン」が流れ始めるタイミングとしてはこれ以上ないほどに完璧だった。安子がすすり泣くバックで鳴り始める優しげなストリングス。やがてタイトルバックに突入。
〈君と私は仲良くなれるかな この世界が終わるその前に きっといつか儚く枯れる花 今、私の出来うる全てを〉
戦争の影が強まりつつある昭和初期。跡取り問題、身分の違いから一緒になることも許されない、そんな厳しい時代に恋に落ちた安子と稔。
〈笑って 笑って 愛しい人 不穏な未来に 手を叩いて〉というサビは安子を思う稔の心情のように思えてならなかった。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか
写真提供=NHK