『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』ヒットの鍵に? 3人のボンドウーマンが誘った共感
肩書きをめぐりボンドとバトル! 新「007」のノーミ
新鋭ラシャーナ・リンチが颯爽と演じる2人目のボンドウーマン・ノーミは、「007」の称号を襲名するほどの実力派エージェントだ。だが彼女は登場シーンからボンドに対して敵対するような態度を見せる。それもそのはず、彼女は新たな「007」としてキャリアを邁進していたところへ、引退したはずの伝説の先輩(ボンド)が現れたのだ。
同僚たちは彼女を無視してボンドを「007」と呼ぼうとするし、上司はボンドの計画を優先するし……。「社内で自分の肩書を取られそうになり葛藤するキャリアウーマン」という設定は斬新であり、彼女が不安を隠してクールにふるまう姿は、働く女性なら誰もが共感するはずだ。
前作から続投! 恋するワーキングマザー、マドレーヌ
一方、前作『007 スペクター』に続き、シリーズ初の2作連続登板となったレア・セドゥ演じるマドレーヌは、前出の2人に比べるとメロドラマ的な役割ではあった。ただ、ワーキングマザーという役割が与えられたことで、ボンドの宿命の女という従来の設定に母親としてのたくましさが加わったと思う。いまやフランス映画界を代表する名女優レアの渾身の演技がラストの衝撃的な展開に説得力を与えたのは間違いないだろう。
プロデューサーや脚本家、俳優たちの才能が結集し、ボンドだけでなく、女性たちも輝いた『ノー・タイム・トゥー・ダイ』。巷ではすでに次のボンドが誰になるのか話題だが、“もっとも人間的なボンド”と、彼にふさわしい“人間的なボンドウーマン”、という本作の魅力的なカップルの後に、いったいどんな人物像をバーバラは提示してくるのだろうか? レア・セドゥは「次は私がボンドをやりたい」と言ったそうだし、ボンドとマドレーヌの娘マチルドの今後も気になるし……で、今から興味は尽きない!
■公開情報
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
全国公開中
監督:キャリー・フクナガ
製作:バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
脚本:ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、スコット・バーンズ、キャリー・フクナガ、フィービー・ウォーラー=ブリッジ
出演:ダニエル・クレイグ、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、レア・セドゥ、ベン・ウィショー、ジェフリー・ライト、アナ・デ・アルマス、ラシャーナ・リンチ、ビリー・マグヌッセン、ラミ・マレック
主題歌:ビリー・アイリッシュ「No Time To Die」
配給:東宝東和
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