増田貴久×池田エライザは見事なはまり役だった 『古見さん』が教えてくれた尊重し合うこと
池田エライザはマドンナと言われるその容姿やスタイルに加え、小さな表情の変化でその心の機微を表現しなければならない難しい役どころの古見を演じた。第1話で見せる微かな笑みは、只野という一人目の友達が出来た喜びの意思表示だった。
万場木との恋バナが話されてからは、キュン、ふわっ、ドキドキドキとミュージカル調の愛らしい表情があらわになっていくが、一方で友情と恋心とで揺れる切ない顔つきの古見も随所に見られた。只野と古見の恋模様の結末は、一言で言えば「ほっぺツン!」。季節は、バレンタインデー。ようやく渡された古見からのチョコに、只野は「友チョコ」と言ってしまうのだ。万場木を巡る三角関係にしろ、こういうところが只野の罪深き鈍感さである……。
そんな只野の満面の笑みを前に、古見は瞬きを2回。じーっと見つめる表情はやがて理解されないことからの怒り、そして溢れる愛情が「ほっぺツン!」という古見としては大胆な行動に変わっていく。この流れるような表情の変化が、演じる池田の評価すべきポイントだろう。
只野や古見の学校生活はこれからも続いていき、新たなクラスではさらなる個性的なキャラクターが続々と登場するだろう。それは我々が多種多様なコンプレックスを抱えているように。一人ひとりが相手をそのまま受け入れることができれば、その先にはきっと綺麗な視界が広がっている。
■放送情報
『古見さんは、コミュ症です。』
NHK総合にて、毎週月曜22:45〜23:15放送(全8回)
出演:増田貴久、池田エライザ、吉川愛、ゆうたろう、溝端淳平、筧美和子、大西礼芳、城田優ほか
語り:高橋克実
原作:オダトモヒト
脚本:水橋文美江
音楽:瀬川英史
主題歌:aiko
制作統括:樋口俊一(NHK)、高城朝子(テレビマンユニオン)
プロデューサー:大沼宏行(テレビマンユニオン)
演出 :岡下慶仁(テレビマンユニオン)、石井永二(テレビマンユニオン)
総合演出:瑠東東一郎(メディアプルポ)
写真提供=NHK